久根別駅

北海道南部の北斗市久根別2丁目に位置する久根別駅は、道南いさりび鉄道線の重要な一駅です。電報略号は「クヘ」、駅にはsh09の駅番号が付与されています。この駅の特筆すべき点として、日本の第三セクター鉄道が運営する駅の中で最も北に位置することが挙げられます。

久根別駅の歴史は、大正2年（1913年）9月15日に、当時の国有鉄道上磯軽便線の一駅として始まりました。開業当初は貨物や荷物も取り扱う一般駅でした。その後、路線の名称は何度か変更され、大正11年（1922年）には上磯線、昭和11年（1936年）には江差線となります。国有鉄道の事業を引き継いだ日本国有鉄道（国鉄）の駅となったのは、昭和24年（1949年）6月1日です。時代と共に駅の機能も変化し、昭和36年（1961年）には貨物の取り扱いが廃止され、さらに昭和59年（1984年）には荷物取り扱いも終了しました。人員配置においても合理化が進み、昭和60年（1985年）3月31日をもって駅員が配置されない無人駅となりました。一時的に簡易委託方式が取られましたが、後に再び完全な無人駅となっています。国鉄分割民営化に伴い、昭和62年（1987年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）の管轄となりました。平成元年（1988年）3月13日には、海峡線開業に合わせて当駅を含む江差線の五稜郭〜木古内間が交流電化され、貨物列車の待避能力向上を図るための構内有効長の延伸や、安全性のための跨線橋設置など、大規模な改良工事が行われました。駅舎自体も、過去には昭和54年（1979年）や平成3年（1991年）に改築が実施されています。そして、平成28年（2016年）3月26日、北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間開業に伴い、JR北海道から当駅を含む江差線の五稜郭〜木古内間が経営分離され、新たに運営を開始した道南いさりび鉄道の駅として現在に至っています。

駅名である「久根別」という名称は、近くを流れる久根別川に由来するとされています。さらにその源流をたどると、アイヌ語の「クンネペッ」に行き着きます。「クンネ」は「黒い」、「ペッ」は「川」を意味し、これは川の水が常に濁っていたり、ひどく泥を含んでいたりした様子から名付けられたと言われています。

久根別駅は地上に設置された駅で、列車が互いに行き違うことのできる2面3線のホーム構造を持っています。現在は無人駅として運用されており、業務は五稜郭駅が管轄しています。駅舎については、1954年に建てられたとされる古い木造建築が現存し、駅の長い歴史を物語っています。ホーム間は跨線橋を利用して移動します。道南いさりび鉄道への移管後も無人駅の状態は続いていますが、利用者の利便性を考慮し、自動券売機が設置されています。

駅周辺には、地域住民の生活を支える施設がいくつか見られます。商業施設ではコープさっぽろほくと店が立地しており、買い物に便利です。主要な道路としては、北海道道756号大野上磯線や国道228号線が駅近くを通っており、アクセスを確保しています。また、久根別郵便局や渡島信用金庫上磯支店といったサービス機関も利用できます。公共交通機関としては、国道228号線沿いに函館バスの「久根別」停留所があり、駅からの接続が可能です。

道南いさりび鉄道線において、久根別駅の隣駅は、函館方面行きの清川口駅（駅番号sh08）と、木古内方面行きの東久根別駅（駅番号sh10）です。

久根別駅は、日本の第三セクター鉄道駅として最北に位置するという地理的な特徴を持つ一方で、大正時代の開業以来、一世紀以上にわたる歴史の中で様々な変化を経験してきました。かつての貨物取扱駅から、現在は地域に根ざした旅客専用の無人駅として、日々の運行を通じて住民の生活を支えています。古い駅舎が醸し出す雰囲気と、最北端の第三セクター駅という個性が組み合わさった、歴史と地域の息吹を感じさせる駅と言えるでしょう。

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