久米 (海防艦)

海防艦久米

海防艦久米（くめ）は、日本海軍における海防艦の一隻で、一般には日振型海防艦の4番艦として認識されています。建造は日立造船で行われ、1944年9月25日に竣工しました。艦名は沖縄県の久米島に由来しています。久米は御蔵型海防艦に分類されており、マル急計画艦とは異なり、掃海具を装備していない点が特徴です。

建造の経緯

久米は改⑤計画に基づき第5251号艦型の2番艦として計画され、日立造船が受注しました。この艦は用兵側の要望を反映して、掃海具を備えた形で建造されることが決まりました。結果として、全艦が昼部分に九四式爆雷投射機を持つ形で竣工しています。

艦歴

1944年5月26日に起工し、8月15日に進水。その後、9月25日には竣工し、佐世保鎮守府に所属しました。初の実戦は11月中旬に行われたヒ81船団の護衛での出撃でした。この船団はレイテ島での戦闘に参加する日本陸軍第23師団の物資を運ぶ任務を持っていました。出港後、アメリカ潜水艦の攻撃を受け、数隻の艦が沈没する事態が発生しました。

特に悲劇的だったのは、空母神鷹が潜水艦スペードフィッシュに攻撃されて沈没したことです。この事件では、久米は生存者の一部を救助する役割を果たしましたが、ヒ81船団は多くの艦艇を失い、6000人以上が戦死しました。

シンガポールに到達後、久米は「ヒ82船団」の護衛任務に追加され、さらなる出撃を繰り返しました。この航路でもアメリカの潜水艦による攻撃を受け、様々な艦が沈んでいく危険な状況に立たされました。

12月21日、久米はアメリカ潜水艦フラッシャーの襲撃を受けました。フラッシャーは護衛艦が少ない時を狙って攻撃を行い、久米に魚雷が命中しました。多くの乗員が犠牲となり、艦はついに沈没してしまいました。生存者は神風に救助されましたが、艦長や機関長を含む141名の乗員が亡くなりました。

その後、久米は1945年3月10日、御蔵型海防艦から削除され、帝国海防艦籍から除名されました。

結論

艦艇としての運命をたどった久米は、海戦の激しさを物語っており、多くの艦や乗組員が戦火に散った中で、その記録は日本の海軍史に刻まれています。久米の艦歴は、当時の悲劇的な状況と戦局の厳しさを映し出すものと言えるでしょう。

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