久米島選挙暴動

久米島選挙暴動

1965年11月15日、アメリカ統治下の沖縄県、久米島で発生した選挙暴動事件です。当時の仲里村（現在の久米島町）で、立法院議員選挙の結果を不服とした落選候補の支持者たちが、大規模な暴動を引き起こしました。

事件の経緯

1965年11月14日に実施された第7回立法院議員総選挙は、久米島でも即日開票が行われました。同日午後11時30分頃、当落が確定すると、翌15日午前1時30分頃、落選候補の支持者約100名が仲里村において、当選候補者の選挙事務所やその支持者の家を襲撃し、家屋を破壊するなどの行為に及びました。暴動はその後も拡大し、別の集落でも当選候補の支持者宅が襲撃される事態となりました。この事態を知り、当選候補の支持者約40人が駆けつけ、逃げ遅れた暴徒5人を捕え、派出所に引き渡しました。しかし、今度は落選候補の支持者約500人が派出所を包囲し、5人の釈放を要求する騒ぎとなりました。

さらに、仲里村役場では、当選候補を支持した村議会議長と副議長が、落選候補の支持者約2000人によって取り囲まれ、辞職を強要されるという事態に発展しました。

事態を重く見た琉球警察は、那覇警察署から警察官を派遣し、約100人を逮捕しました。これにより、暴動は漸く鎮静化しました。

事件の背景

この暴動の背景には、久米島の仲里村と具志川村の長年にわたる対立がありました。両村は、シマ社会特有の閉鎖的な体質も相まって、様々な場面でトラブルを繰り返していました。今回の選挙では、両村の有力者間で、立法院議員選挙の候補者を交互に出すという取り決めが事前に交わされていました。今回の選挙は仲里村の番でしたが、具志川村側はこの取り決めを無効と主張し、独自の候補者を擁立しました。さらに、仲里村側でも候補者の一本化に失敗し、村議会議長・副議長が具志川村側の候補者を支援しました。結果、その候補者が当選したことが、今回の暴動と吊し上げの直接的な原因となりました。

事件の影響

この事件は、選挙結果に対する不満が、集団的な暴力行為に発展する危険性を示唆するものでした。また、島社会における閉鎖性や対立構造が、選挙という民主主義の根幹を揺るがす事態を引き起こす可能性を示唆するものでもありました。

参考文献

『沖縄年鑑 1967年版』沖縄タイムス社、1967年12月30日。NDLJP:2986459。
沖縄大百科事典刊行事務局 編『沖縄大百科事典 上巻』沖縄タイムス社、1983年5月30日。NDLJP:12193837。

関連項目

立法院議員選挙（第7回立法院議員総選挙）
シマ社会
選挙運動
琉球警察
* 石垣市長選挙騒動

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