久米部

久米部（くめべ）について

久米部は、古代日本に存在した軍事的な職業部であり、特に「来目部」や「久目部」としても言及されることがあります。さらに「大来目部」とも呼ばれることから、その重要性が伺えます。この部は、主に大陸から伝播してきた軍事技術や思想と関連して発展し、宮廷を守る役割を持っていました。

歴史的背景

久米部は、元々「久米直」という氏族が伴造としてその役割を担ってきました。後に、この直系が大伴連の管理・統率下に入ることで、久米部はより顕著な役割を持つようになりました。主に、中国地方と四国地方を中心に、そして東海道に沿って広がっていった久米部は、特に伯耆国、美作国、伊予国などに多くの影響を及ぼしました。現在でも、岡山県や愛媛県には久米郡が存在し、地域の名前にもその名残を感じることができます。

一方で、久米部は大伴部との関係も重要です。大伴氏が東国に広く影響を持っていたことから、両者の関係は非常に複雑です。『古事記』では久米氏と大伴氏は対等な立場で描かれていますが、一方で『日本書紀』では久米部が大伴氏に従属する様子が記されています。このような記述の差異は、久米直氏が「八色の姓」にも賜姓されていないことから、久米部を管理していた氏族が衰退していったためではないかと考えられています。

文化と伝承

久米部の文化は、歌や舞に色濃く反映されています。『日本書紀』や『古事記』に記載されている「久米歌」、あるいは「来目歌」は久米部の出陣や凱旋の儀式で歌われていました。これらの歌は、奈良時代や平安時代には宮廷の歌謡として広まり、その後の時代においても多くの影響を与えたことが分かります。特に久米舞は、久米歌とともに演じられることが多く、その伝統は現代まで続いています。

まとめ

古代日本における久米部の存在は、単なる軍事的な役割を超えて、文化や地域社会に深く根ざした重要な職業部でした。その地域的な広がりや、他の氏族との関係の中で生まれた歴史と文化は、現代の私たちにとっても学ぶべきことが多くあります。今日でも久米部がもたらした影響は、地名や文化遺産として私たちの生活の中に息づいているのです。

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