久米舞

久米舞（くめまい）

久米舞は、皇室に関連した古典舞踊であり、宮中の儀式での演目として知られています。この舞踊は、現存する日本で最も古い歌舞とされ、古代の久米氏に由来するものです。歴史的には、久米氏の一族が舞ったものであり、その後大伴氏や佐伯氏に受け継がれました。

概要

久米舞は、特に大嘗祭などの重要な宮中の儀式において演奏されました。宮内庁式部職楽部によって行われ、舞手は4人に設定されています。彼らは特別な衣装を身にまとい、剣を抜いて敵を斬る振りをしながら、迫力のある所作を演じます。使用される楽器には篳篥、和琴、竜笛があり、全体で4つの楽章から構成されています。各章は次の通りです。

1. 参入音声（まいりおんじょう）
2. 揚拍子（あげびょうし）
3. 伊麻波予（いまわよ）
4. 退出音声（まかでおんじょう）

さらに、短い前奏や間奏もあり、特に2章と3章の前に挿入される和琴の間奏部分では舞が舞われます。また、歌方は6人または8人で構成され、音頭を取る歌い手が笏拍子を持つ役割も担います。立楽の形式も取り入れられ、歌方の中から2人が和琴を演奏しつつ舞うことになります。

歴史

久米舞の起源は、古代の久米一族の祭礼や風俗にあるとされています。彼らは早い段階から大和王権に従い、この舞はその服従の証として奏されていました。古事記や日本書紀には、神武天皇の東征において久米部の勇ましい歌が伝えられており、久米舞はその歌に舞を付けたものとして歴史的価値が高いのです。久米部は、久米一族が大伴連に従属して形成した戦闘集団と見なされています。

雅楽寮が設立された後は、久米舞も教習対象となり、宮廷における式楽としての形式を整えていきました。文献によれば、飛鳥時代から奈良時代にかけて、笛や和琴と共に舞が行われました。特に、東大寺の大仏開眼供養では20人の舞人によって演じられ、大嘗祭などの重要な儀式においても吉志舞とともに奏楽されました。

平安時代からは、大嘗祭の伝統行事として定着し、豊明節会などでの執り行いが続けられましたが、応仁の乱を経て室町時代には一時中断されることとなります。しかし、その後誕生した真清田神社の社家で発見された譜面により、久米舞は再び蘇り、1818年には仁孝天皇の即位礼でも見られるようになりました。その後も、戦後の儀式では橿原神宮などで演じられ、近年では平成や令和の即位の礼の際にも披露されました。2018年3月には国立劇場で一般向けの公演も行われるなど、今なおその伝統は継承されています。

参考文献

• - 『角川第二版日本史辞典』p296、角川書店
• - 『岩波日本史辞典』p352、岩波書店

このように、久米舞は歴史の中での重要性や文化的な価値を持ち続けており、古代から現代にまで引き継がれている伝統の舞踊です。

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