乙ヶ妻のシダレザクラ

乙ヶ妻のシダレザクラ

乙ヶ妻のシダレザクラは、山梨県山梨市牧丘町室伏に位置する立派なシダレザクラの巨木です。この木は、甲府盆地の北東端にあり、笛吹川水系の支流琴川の左岸にある小高い丘の中腹に自生しています。ここからは、甲府盆地や遠くに見える御坂山地、富士山の美しい景色を楽しむことができます。

生育地と特徴

乙ヶ妻のシダレザクラは、標高約680メートルの丘の頂上に位置し、そのサイズはとても大きいです。根回りは4.6メートル、目通りは3.8メートル、樹高は8.7メートルに達し、枝は東西に8.5メートル、南北に8メートルの広がりがあります。推定樹齢は約150年から200年にものぼり、1976年には牧丘町によって町の天然記念物に指定されました。現在では、山梨市が管理する天然記念物として多くの人々に親しまれています。

由来と名称

乙ヶ妻のシダレザクラの名前の由来は歴史的な背景にあります。この地名は、『甲斐国志』という文献にも登場し、旧室伏村や奥勝間として記録されています。現代の「乙ヶ妻」という表記は、「奥勝間」から派生した当て字だと考えられています。また、勝間というのは家の奥隅を指し、琴川の地形的特徴から「奥地にある勝間」として名付けられたとされています。

文化的背景と地域の人々

乙ヶ妻のシダレザクラが位置する旧牧丘町は、自体が山地に囲まれており、平地や丘陵地は限られています。このため、地域の集落は笛吹川やその支流の近くに集中して発展してきました。当地の住民は、花見の際にこのシダレザクラの周辺で宴会を開くことが多いです。また、周辺には秋葉神社や天神宮などの祠があり、地域の信仰のシンボルともなっています。

アクセスと見学について

乙ヶ妻のシダレザクラを訪れるには、いくつかの交通手段があります。JR中央本線の塩山駅からは、甲州市の市民バスを利用し、「窪平」バス停で乗り換え、その後山梨市営バスに乗って「中牧神社」または「乙ヶ妻入口」バス停で下車し、約15分ほど歩く必要があります。自動車を利用する場合は、乙ヶ妻公民館に5台の駐車が可能です。

見学の楽しみ

春の開花期は毎年4月上旬から中旬にかけてで、この期間になると乙ヶ妻のシダレザクラは美しい花を咲かせます。最近では、夜間にライトアップされるイベントも行われており、昼とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。この場所は一般に開放されているため、地域住民はもちろん、観光客も訪れる場となっています。

以上のように、乙ヶ妻のシダレザクラは、ただ花見の名所であるだけでなく、地域の文化や歴史を深く知るための貴重なスポットでもあります。

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