九一式魚雷

九一式魚雷

九一式魚雷（きゅういちしきぎょらい）は、大日本帝国海軍が航空機からの投下用に設計された航空魚雷で、正式には九一式航空魚雷と呼ばれています。この魚雷は主に第二次世界大戦における艦船攻撃のために使用され、その技術的革新は当時の海軍航空戦術の進展に寄与しました。

特徴と技術

九一式魚雷（改2）は、1936年から1941年にかけて改良が加えられました。このモデルには、木製の空中姿勢安定板を尾部に装着する機能が追加され、これにより水中投入時の安定性が向上しました。さらに、ローリングをコントロールする角加速度制御システム（PID制御）が搭載され、これが航空魚雷の技術的ブレークスルーとして位置づけられています。これらの改良により、九一式は高度20メートル、速度180ノット（約333 km/h）での発射が可能になり、浅い軍港でも効果的に使用されました。特に、九七式艦上攻撃機からの加速降下雷撃に対応できる能力を備え、荒れた海でも発射可能となりました。

また、魚雷の直径は450 mm（17-3/4インチ）で、搭載炸薬の量は形式によって異なります。頭部重量は213.5〜526.0 kgで、炸薬の量は149.5〜420.0 kgにも及びます。九一式魚雷は、事実上日本における唯一の航空魚雷であり、他の一般的な魚雷とは一線を画していました。

開発の経緯と雷撃戦術

九一式魚雷の開発は1932年に始まり、初期のモデルは発射時に慎重さが求められる設計でした。エンジニアたちは航空魚雷の最大射程を2,000メートルと見込んでおり、実際の射撃訓練では、近距離からの雷撃が主流でした。魚雷発射方法には「第1射法」と「第2射法」があり、特に第1射法は1941年8月に成果を上げました。この方法では、高度20メートル、速度160ノット（約300 km/h）での発射が行われ、目標艦船に対して有効な攻撃が可能でした。

戦果と戦術の進化

九一式魚雷の有効性は、真珠湾攻撃や珊瑚海海戦など重要な戦闘において証明されています。特に珊瑚海海戦では、九七式艦上攻撃機がこの魚雷を使用してアメリカ艦艇を攻撃し、戦果を挙げました。これにより、航空魚雷の戦術が確立され、以降の日本海軍の攻撃作戦においても重要な役割を果たしました。

技術的進展

九一式魚雷の高速度雷撃射法は、航空機からの魚雷発射時に新しい技術をもたらしました。この射法では、速度300ノット（約556 km/h）での投下が可能にされ、水面入射時の衝撃強度を考慮して作られた設計が採用されました。さらに、安定器が取り入れられたことで、魚雷は制御が容易になり、発射後の走行安定性が向上しました。

その後の影響

九一式魚雷は、その後の魚雷技術や航空機運用に影響を与えました。また、日本戦後はこの技術者たちが様々な分野に転職し、九一式魚雷の技術は民間にも受け継がれました。

結論

九一式魚雷は、航空魚雷技術の進展と日本海軍の戦術を支えた重要な兵器です。その独自の設計と技術的革新は、戦況における戦略的な優位をもたらしました。九一式魚雷の開発と運用に携わった技術者たちの努力が、海軍航空戦の精度と爆発力を大いに高めました。

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