九七式側車付自動二輪車

九七式側車付自動二輪車

概要

九七式側車付自動二輪車（きゅうななしきそくしゃつきじどうにりんしゃ）は、1937年に制式化された大日本帝国陸軍のサイドカーです。この車両は、当時の技術を集約した国産モデルであり、アメリカのハーレーダビッドソン製品を基に、三共内燃機によりライセンス生産された「陸王」を改良して製造されました。

この車両の開発には、ハーレーダビッドソンの日本代理店であった日本自動車からの技術者、桜井盛親が中心的な役割を果たしました。九七式の基本構造は陸王を引き継ぎ、エンジンはハーレー系の空冷V型2気筒サイドバルブエンジンを搭載し、排気量は1,272ccに拡大されました。また、手動シフト機能には前進3段と後進1段が備わっていました。特筆すべきは、悪路を走行する際の機能性を向上させるため、二輪駆動式サイドカーとして設計された点です。これは本体だけでなく、側車の車輪も駆動することで、より高い走行性能を実現しました。側車の駆動には、操縦席の左後方にあるクラッチレバー操作が必要です。

制式採用

九七式側車付自動二輪車は、陸軍が従来使用していた九三式側車付自動二輪車の性能に問題があったことから、1936年に陸軍省が二輪駆動車両の性能試験を行うことを決定しました。その結果、陸軍自動車学校での実走性能試験において、十分な性能を持つことが確認されたため、1937年に正式に制式採用されることとなりました。

実戦における活用

この自動二輪車は日中戦争、ノモンハン事件、太平洋戦争などさまざまな戦闘や演習で幅広く活躍しました。日本陸軍の装備としての役割を果たしたほか、海軍陸戦隊にも配布されました。また、近衛師団にも配備され、昭和天皇の行幸時には護衛として近衛兵の乗車した九七式側車付自動二輪車が伴走することがありました。この時、従来の舟型デザインから改良された形状により、緊急時の迅速な降車が可能にされています。

生産と登場作品

生産は主に陸王内燃機の品川工場で行われ、他にも大手のオート三輪とエンジンメーカーで知られる日本内燃機、大森工場などでも製造されました。一部は東洋工業や岡本工業でも少量が生産されました。

さらにこの車両は、漫画『鉄の竜騎兵』にも登場します。主人公の乗る単車として描かれ、重要なシーンで用いられるなど、文化的な影響も広がりました。

終わりに

九七式側車付自動二輪車は、その優れた機能と性能により、歴史的な戦争の場面で重要な役割を果たしました。その技術は時代を超えて評価されており、現代でもその存在は忘れられることはありません。

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