九七式炊事自動車

九七式炊事自動車の概要

九七式炊事自動車（きゅうななしきすいじじどうしゃ）は、1930年代中頃に日本の陸軍によって開発された自走式の炊事車です。この車両は、主に自動車化歩兵部隊などの機動力を持つ第一線部隊に随伴し、煮炊き作業を行うために設計されました。自衛隊でも同様の思想が取り入れられ、航空自衛隊や陸上自衛隊の炊事車にその影響を見て取ることができます。

構造と機能

九七式炊事自動車は、九四式六輪自動貨車をベースとしており、その荷台に炊事装置を搭載しています。最大の特徴は独自の発電用ガソリンエンジンを内蔵している点で、炊飯器の電源供給に利用されています。炊飯器は、熱を発生させるための電極を持った木製の箱で構成されています。この設計はシンプルで故障しにくい一方で、炊き加減が均一でないという課題も抱えていました。ただし、炊飯後は保温機能を持っており、走行中でも炊飯が可能という利点があります。

また、汁物用の釜も別に搭載されており、味噌汁をはじめとしたさまざまな料理を調理することができます。炊飯能力は高度で、走行中は1時間に400食、停車時には500食のご飯を炊くことができ、さらには750食の汁物を調理することも可能です。水を沸かす能力は、バーナー使用時に200L、電熱利用時は250Lとなり、水槽の総容量は540Lです。

経緯と背景

本車両の開発の背景には、1919年のシベリア出兵の経験が挙げられます。この時、大量炊事を行うために蒸気式炊事車を試みたものの、厳しい寒さの中での実用化は困難でした。この経験を踏まえ、より実用的な軍用炊事車の開発が進められ、自動車化部隊が整備されるに従い、炊事を行う車両の必要性が高まりました。

1934年に初めて九四式炊事自動車が試作され、その後改良が続けられました。1937年に完成した九七式炊事自動車は、実用試験での結果も良好で、適時に温かい食事を提供できるという利点から非常に高く評価されました。特に炊飯能力と汁物調理能力の高いことが大きな特徴であり、厳冬の中でもその能力が発揮されました。

終わりに

九七式炊事自動車は、その優れた機能により、戦場において兵士たちに必要な栄養を効率よく提供する役割を果たしました。炊飯においては直接通電による方法を採用していますが、特に大きな不具合が発生することもなく、多くの兵士から高く評価され続けました。このように、歴史的な背景をもとに設計された九七式炊事自動車は、当時の軍の運営における重要な役割を担ったと言えるでしょう。

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