九九式七糎半戦車砲

九九式七糎半戦車砲

九九式七糎半戦車砲（99しき7せんちはんせんしゃほう）は、大日本帝国陸軍が1943年に開発を完了した口径75mmの戦車砲です。この砲は主に二式砲戦車に搭載され、その設計は1939年に定められましたが、実際の研究は1937年から開始されています。

概要

本砲は二式砲戦車の主砲として設計され、九〇式五糎七戦車砲の後継として位置づけられました。それまでの日本の戦車砲は、砲手が人力で狙いを調整する方式が主流でしたが、九九式七糎半戦車砲では全周射界を持つ砲塔の回転によって方向を調整する設計が採用されました。この変更により、砲の運用が効率的になる一方で、固定された整備やマニュアルな操作が不要になりました。さらに、自動開閉機構を持つ尾栓へと進化し、発射速度も向上しました。砲身は自緊式とされ、後座長は490～510mmと前の戦車砲と比べてかなり長いものでした。

後のバージョンである九九式七糎半戦車砲II型は、特に駆逐戦車に対応するため、砲自体にも方向射界が与えられています。これにより砲の重量が約60kg増加しました。

開発経過

本砲の開発は1937年、陸軍技術本部の兵器研究方針改訂に伴って始まりました。しかし1939年の設計方針の変更によって一度は研究が白紙化され、再設計が行われることになります。1940年3月には試製砲の発注が行われ、1941年には九七式中戦車の車台に試製砲が搭載され、総合的な試験が実施されました。試験の結果を受け、威力を増大させた第2号砲が発注され、完成後には様々な試験が行われました。

特に1942年には、電気発火用の電磁石が完成し、撃発装置の改修が行われ、本砲に取り付けられました。これにより実用性が向上し、最終的に1943年7月21日には仮制式の制定が行われました。

装甲貫徹能力

九九式七糎半戦車砲は、同じ弾薬筒を使用する四一式山砲と比較して、貫通能力では優位に立っていました。射距離によって異なる貫通限界厚が存在し、射距離500mでは46mm、1000mでは43mmの鋼板を貫通可能でした。特に、二式穿甲榴弾は75～100mmの装甲を貫通可能であり、戦局において重要な火力を発揮しました。

派生型

さらに、九九式七糎半戦車砲の派生型として九九式七糎半戦車砲II型が開発されました。これは、砲塔を持たない駆逐戦車用に設計されており、特に研究が1943年に開始されました。変更点は方向射界が付加されたことで、これにより全備重量は603kgとなりました。

生産

本砲の生産は1944年9月に兵器行政本部からの指示に基づいており、50門が生産されることが決定されました。また、同年には二式砲戦車として30輌が製造され、実用的な戦力としての地位を確立しました。

九九式七糎半戦車砲は、当時の日本陸軍の戦力向上に大きく寄与した重要な火器であり、その技術的な進化や装備は、戦局に影響を与えたと言えるでしょう。

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