九九式高等練習機

九九式高等練習機について

九九式高等練習機（きゅうきゅうしき こうとう れんしゅうき）は、第二次世界大戦中に日本陸軍が使用した練習機として知られています。この航空機の試作名称はキ55で、通称として「九九式高練」や「九九高練」と呼ばれています。連合軍はこの機体を「Ida」（アイーダ）と名付けました。また、立川飛行機が開発し、製造は立川と川崎航空機が行いました。

開発の背景

1935年以降、航空機の技術は驚異的なスピードで進展しました。特に、1937年に制式採用された九七式戦闘機や九七式軽爆撃機、九七式司令部偵察機が低翼単葉機として登場したことで、日本陸軍は従来の複葉機から近代的な練習機への移行が必要だと認識しました。1940年、陸軍は九八式直接協同偵察機を練習機に改造する指示を出し、立川は開発のスピードを上げるために、製作中の九八式機体を改造して原型を作成しました。その結果、1939年4月には原型機が完成し、同年7月に九九式高等練習機として正式に採用されました。

機体構造

九九式高練の基本構造は九八式直協機と似ているものの、外観上の大きな相違点として主脚のカバーが廃止されています。また、通信機や爆撃装備は取り除かれ、機首には固定機関銃が装備されたままとされています。後部座席は教官用に設計され、操縦装置や計器板も追加されています。

生産と運用

1940年から本格的に配備が始まり、陸軍の飛行学校をはじめさまざまな場面で使用されました。ただし、低空飛行時には急激な引き起こし操作が禁じられていたため、操縦には注意が必要でした。操縦安定性や運動性能は優れており、整備も比較的容易で、良好な性能を持っていました。生産は立川と川崎で行われ、1943年までに合計1,386機が生産され、その一部は民間の航空機乗員養成所でも利用されました。

日本陸軍だけでなく、満洲国軍やタイ王国軍でも運用され、国共内戦時には日本の教官が航空学校で使用した例もあります。

現存する機体

九九式高等練習機の大半は日本陸軍の飛行学校で利用されていましたが、傀儡政権であった満洲国や、日泰攻守同盟の下でタイ王国にも輸出されました。タイ王国空軍では1951年まで運用されており、その結果、現存する機体がタイ王国空軍博物館に展示されています。この博物館では、機体は良好な状態で保管されています。また、国共内戦時に使用されたものも展示されていることがありますが、こちらは屋外での展示となっています。

現存している機体は、2022年時点でタイのものと中国の1機のみで、総生産数は1,386機とされています。

スペック

• - 全長: 8.00 m
• - 全幅: 11.80 m
• - 全高: 3.64 m
• - 主翼面積: 18.1 m²
• - 自重: 1,292 kg
• - 全備重量: 1,721 kg
• - エンジン: 日立 ハ13甲 空冷単列星型9気筒エンジン 510 hp/2300 rpm(離陸時) × 1
• - 最大速度: 349 km/h
• - 航続距離: 1,060 km
• - 実用上昇限度: 8,180 m
• - 乗員: 2 名
• - 武装: 7.7 mm機関銃（八九式固定機関銃）×1

以上により、九九式高等練習機は当時の日本陸軍において重要な役割を果たした航空機となっています。

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