九八式三十七粍戦車砲

九八式三十七粍戦車砲

九八式三十七粍戦車砲（きゅうはちしきさんじゅうななみりせんしゃほう）は、大日本帝国陸軍が1938年に開発を始めた口径37mmの戦車砲です。この砲は、主に九五式軽戦車の主砲として使用され、以前採用されていた九四式三十七粍戦車砲の後継として位置付けられています。

開発経緯

九八式戦車砲の開発は、九五式軽戦車に搭載されていた九四式三十七粍戦車砲の弾薬を活用できるようにすることが目的でした。1938年10月に研究が始まり、1939年9月には試製砲が完成しました。その後、同年10月に竣工試験や修正機能試験、11月には機能抗堪性試験が行われ、1940年2月には改修機能試験が実施されました。これらの試験を経て、機能的に優れていることが確認され、九八式戦車砲は正式に採用されました。この砲は九四式三十七粍砲と共通の弾薬（弾薬筒）を使用するため、運用の効率性が高いといえます。

照準器は単眼鏡式で、2,000mまでの距離を200mごとに目盛が振られていました。九八式戦車砲は、後期型の九五式軽戦車や、装甲艇の砲塔形式でも用いられました。この場合の砲塔は、九五式軽戦車とは異なり、九七式軽装甲車などと形状がよく似ていました。

装甲貫徹能力

九八式戦車砲の貫通威力は、九四式三十七粍砲と非常に似通っています。九四式徹甲弾の装甲貫徹能力は、350mで30mm、800mで25mm、1,000mで20mmとされています。このため、九八式戦車砲も同様の貫通力を持ち、敵装甲に対して高い効果を発揮しました。1942年の資料では、九四式三十七粍砲に試製徹甲弾を使用した場合の貫通能力が詳細に述べられており、200mで49mm、500mで41mm、1,000mで31mmといった数値が示されています。これらは、敵の第一種防弾鋼板に対しての能力を示しています。

派生型

九八式戦車砲を基にした派生型として、舟艇の自衛用に改修された四式三十七粍舟艇砲があります。これは三式潜航輸送艇向けに1943年5月から設計が始まり、同年8月には試製砲が完成しました。特に防錆対策が施されるなど、運用環境に配慮した設計がなされました。

生産

九八式三十七粍戦車砲の生産は、大阪造兵廠で行われました。1942年10月末の時点での累計製造数は691門に達し、1943年3月末には875門製造が記録されています。これによって日本の戦車部隊は、軽戦車の火力を向上させることができました。

九八式三十七粍戦車砲は、精度、貫通力ともに優れ、当時の日本陸軍にとって重要な戦力の一つとなりました。

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