九試艦上攻撃機

九試艦上攻撃機について

九試艦上攻撃機は、大日本帝国海軍によって試作された艦上攻撃機です。この機体は、海軍航空廠、三菱重工業、中島飛行機の協力によって開発されましたが、最終的には空廠が設計した九六式艦上攻撃機が正式に採用されました。本記事では、不採用となった二つの試作機、すなわち三菱のB4Mと中島のB4Nについて詳しく解説します。

B4Mの特徴と試作経緯

B4Mは、一三式艦上攻撃機以降、海軍航空機の開発が停滞していた時期に企画されました。1942年、海軍は新たに艦上攻撃機を開発する必要を痛感し、九試艦攻のプロジェクトを立ち上げました。空廠による研究が進められる一方で、三菱と中島にも試作を命じ、両社は競って新型機の開発に取り組みました。特に、三菱は松原元技師を筆頭に、1934年2月に設計を開始し、1934年9月には試作機が完成、同年9月25日に初飛行を行っています。

B4Mの機体設計は、伝統的な金属製の骨組みに羽布張りの複葉機スタイルであり、短い開発期間を意識した結果でした。しかし、飛行を重ねる中で、操作性や主翼の剛性に問題があることが判明しました。これらの欠陥が原因となり、B4Mは最終的に不採用の決定を下されました。

B4Nの設計と性能

一方、中島飛行機は1942年に試作を開始しました。技師の吉田考雄と福田安雄によって設計が進められ、二機のタイプが配置されました。一つは中島「寿三型」エンジンを搭載したモデル、もう一つは中島「光一型」エンジンを使用したモデルです。これらは1936年に完成し、飛行テストが実施されました。

B4Nは木材と金属を組み合わせた骨組みを持つ複葉機で、特に注目すべきはその羽根の形状です。上翼がガルウィング（上向きに折れ曲がった形）、下翼が逆ガルウィング（下向きに折れ曲がった形）を採用しており、独特なX字型の形状をしています。これはデザイン上の一つの挑戦であり、性能的な特徴とも言えました。

ただし、最終的には空廠による艦上攻撃機が最も堅実な性能を示したため、B4Nも不採用の決定を受けることになりました。

仕様概要

以下にそれぞれの試作機の主要なスペックをまとめます。

B4M

• - 全長: 9.96 m
• - 全幅: 14.80 m
• - 全高: 3.94 m
• - 主翼面積: 54.0 m²
• - 自重: 2,000 kg
• - 全備重量: 3,827 kg
• - エンジン: 三菱 八試 空冷複列星型14気筒（最大800 hp）× 1
• - 最大速度: 241 km/h
• - 航続時間: 6.17時間
• - 武装: 7.7mm機銃 × 3、爆弾または魚雷800 kg
• - 乗員: 3名

B4N（「光」装備機）

• - エンジン: 中島 光一型 空冷星型9気筒（離昇820 hp）× 1
• - 武装: 7.7mm固定機銃 × 1、7.7mm旋回機銃 × 1、800kg魚雷または500kg爆弾 × 1、または250kg爆弾 × 2、または30kg爆弾 × 6
• - 乗員: 3名

まとめ

九試艦上攻撃機の開発は、日本の航空機技術の進展において重要な一歩でしたが、最終的にはどちらの機体も正式採用には至りませんでした。海軍における航空機の進化の過程を理解する手助けとなる事例です。この試作機たちは、技術的な挑戦や局面を反映した歴史的な存在となりました。

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