乞伏国仁

乞伏国仁（きつぶく こくじん）は、五胡十六国時代に存在した西秦の創始者です。彼はもともと前秦に仕える隴西鮮卑の一族の長であり、南単于の地位にありました。しかし、前秦の衰退に乗じて自立し、西秦を建国しました。

前秦の臣下から自立へ

乞伏国仁の父である乞伏司繁（きつぶく しはん）は、前秦の苻堅（ふけん）によって南単于に封じられていました。376年に司繁が亡くなると、国仁がその地位を継承します。383年の淝水の戦いでは、苻堅は国仁を前将軍に任じて作戦に参加させています。この戦いは前秦の大敗に終わり、国仁のその後の行動に大きな影響を与えることになります。

転機となったのは、国仁の叔父である乞伏歩頽（きつぶく ほどい）が隴西で起こした反乱でした。苻堅は当初、国仁を反乱鎮圧の軍に任じましたが、乞伏歩頽が国仁を迎え入れたため、国仁は前秦の弱体化に乗じて周辺の部族を統合し、勢力を拡大していきます。

385年、苻堅が姚萇（ようちょう）によって殺害されると、国仁は大都督・大将軍・大単于・領秦河二州牧を自称し、独自の元号である建義を立て、勇士城（現在の甘粛省蘭州市楡中県）を都に定め、西秦政権を樹立しました。ここに、五胡十六国時代の新たな勢力が誕生したのです。

西秦の創始者として

国仁は西秦の創始者として、その後の西秦の基礎を築きました。彼のリーダーシップのもと、西秦は周辺の勢力との抗争を繰り広げながらも、一定の勢力を維持しました。しかし、建義4年（388年）に国仁が亡くなると、弟の乞伏乾帰（きつぶく けんき）がその地位を継承することになります。

乞伏国仁は、前秦の混乱期に乗じて自立し、西秦を建国したことで、歴史に名を残しました。彼の決断と行動がなければ、西秦という国は存在しなかったかもしれません。五胡十六国時代の激動の中で、独自の勢力を築き上げた彼の功績は、評価されるべきでしょう。

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