乞伏乾帰

乞伏乾帰：西秦再興に奔走した王

乞伏乾帰（きつぶく けんき）は、五胡十六国時代の西秦の第2代の王。初代王である乞伏国仁の弟にあたります。隴西鮮卑（ろうせいせんぴ）にルーツを持つ人物です。

若き日の乾帰

兄である乞伏国仁が西秦を建国すると、乾帰は上将軍に任じられ、その初期の国政を支えました。

388年、国仁が亡くなると、その子の乞伏公府がまだ幼かったため、群臣たちは乾帰を推戴（すいたい）し、王位に就けます。乾帰は大都督・大将軍・大単于・河南王を兼ね、太初と改元。都を金城（現在の甘粛省蘭州市西固区）に移しました。

翌年には、前秦の苻登（ふとう）から金城王に封じられています。

前秦との関係

394年、苻登の要請に応じ、乾帰は後秦攻撃に出兵。この功績により梁王に封じられました。同年、苻登が戦死すると、苻崇（ふすう）が即位しますが、乾帰は苻崇を追い払います。苻崇は氐族（ていぞく）の仇池部（きゅうちぶ）を頼り、隴西王の楊定（ようてい）のもとに亡命。その後、楊定と苻崇は共同で西秦を攻撃しますが、乾帰は連合軍を撃退し、楊定を討ち取って前秦を滅ぼしました。これにより、西秦は隴西地区を勢力下に収めます。

395年には都を西城（現在の甘粛省白銀市靖遠県）に、400年には苑川（現在の甘粛省蘭州市楡中県）に再び遷都しています。

南涼への亡命と帰還

400年、後秦軍に辰谷で敗れた乾帰は、南涼へ亡命。しかし、南涼王の禿髪利鹿孤（とくはつりろくこ）に殺されることを恐れ、後秦へと再度亡命します。

後秦に亡命した乾帰は、姚興（ようこう）から持節・都督河南諸軍事・鎮遠将軍・河州刺史・帰義侯に封じられます。翌年には、西秦の故都である苑川の鎮守を任され、部衆を率いて故地に帰還を果たしました。

後秦に亡命していた時期には、後涼天王の呂隆（りょりゅう）が降伏。また、仇池部の氐王である楊盛（ようせい）を攻撃し、吐谷渾（とよくこん）を占拠するなど、その勢力を拡大しています。

407年、姚興は乾帰の勢力拡大を警戒し、自己の支配下に置くため、乾帰を長安に留めて尚書に任じました。

西秦の再興と最期

408年、後秦が南涼や夏などに敗れて国力が衰退すると、翌年、乾帰は苑川に遷り、その後、度堅山を都城として再び秦王に即位。更始と改元し、西秦を再興しました。

410年には苑川に遷都するなど国内の整備に努めますが、412年、乞伏公府によって殺害されました。諡号は武元王、廟号は高祖。子の乞伏熾磐（きつぶくしばん）が西秦の王位を継承しました。

乞伏乾帰は、西秦を一時滅亡の淵から救い出し、再興を成し遂げた王として、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索