議定

議定（ぎじょう）とは

議定は、明治時代初期に存在した官職であり、日本の近代化において重要な役割を担いました。その設立から廃止まで、短期間ながらも複雑な変遷を遂げました。

設立と初期の役割

議定は、慶応3年12月9日（1868年1月3日）の王政復古の際に、総裁、参与とともに設置された三職の一つとして誕生しました。当初、議定には皇族、公家、大名から選ばれた10名が任命され、その後4名が追加されました。具体的には、仁和寺宮純仁親王、中山忠能、松平慶永、島津茂久、徳川慶勝、山内豊信、山階宮晃親王、正親町三条実愛、中御門経之、浅野長勲、さらに岩倉具視、三条実美、伊達宗城、長谷信篤が名を連ねました。彼らは、新たな政治体制における重要な意思決定に関与しました。

三職七科制と議定の増員

翌年1月には、三職七科制が導入され、議定の役割はさらに明確化されました。皇族、公卿、諸侯から選出された議定は、七科を分担し、議事を決定する役割を担うことになりました。各科の事務総督も議定が兼任し、その数は最大で31名にまで増員されました。この増員は、新政府の運営を円滑に進めるための措置でした。

議政官上局への移行と役割の変化

さらに同年4月、政体書に基づく職制へと移行すると、議定は議政官上局に移されました。ここでは、法律の制定、条約の締結、和戦の宣告、三等官以上の人事といった、国家の根幹に関わる重要な職務を担うことになりました。また、議定であった三条実美と岩倉具視は、行政官の長である輔相を兼務し、政府の中枢を担いました。

変遷と廃止

議定は、その後も所属や役割を変えながら、その組織は複雑な変遷を辿りました。9月には一旦行政官に属するものとされましたが、翌1869年（明治2年）4月には上局に戻されました。しかし、同年5月には議政官が行政官に統合され、5月15日には官吏公選が行われることになりました。この結果、輔相には三条実美が、議定には岩倉具視、鍋島直大、徳大寺実則の3名が選出されました。そして、同年7月8日（1869年8月15日）に明治太政官制が導入されたことで、議定は廃止されました。

議定に就任した人々

議定には、以下のような人々が名を連ねました。

皇族:
仁和寺宮純仁親王
山階宮晃親王
聖護院宮嘉言親王
華頂宮博経親王
有栖川宮幟仁親王
公家:
中山忠能
正親町三条実愛
中御門経之
長谷信篤
岩倉具視
三条実美
徳大寺実則
万里小路博房
鷹司輔煕
近衛忠房
白川資訓
東久世通禧
大名:
島津茂久
徳川慶勝
浅野長勲
松平慶永
山内豊信
伊達宗城
細川護久
鍋島直大
亀井茲監
鍋島直正
蜂須賀茂韶
毛利元徳
* 池田章政

まとめ

議定は、明治維新という激動期に、新しい国家体制の構築を担った重要な官職でした。その役割や組織は、短期間のうちに大きく変化しましたが、近代日本の礎を築く上で欠かせない存在であったと言えるでしょう。

議定は、日本の歴史において、重要な転換期に存在した官職であり、その変遷は、日本の近代化の過程を映し出す鏡とも言えるでしょう。

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