亀屋みなみチェーン

亀屋みなみチェーン：青森県を席巻したスーパーマーケットの盛衰

亀屋みなみチェーンは、かつて青森県内で最大規模を誇ったスーパーマーケットチェーンです。1993年（平成5年）には県内最大手として知られ、青森市に本社を構え、29店舗を展開していました。しかし、2001年（平成13年）に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産。地域経済に大きな衝撃を与えました。

多角的な事業展開

スーパーマーケット事業では、「亀屋（Kameya）」のブランドのほか、「K・バリュー」や「食彩館」、「タートルズ100（タートルズプラザ）」など、多様な店舗ブランドを展開していました。また、買い物金額に応じてグリーンスタンプがもらえるサービスも実施していました。

食品スーパーだけでなく、衣料品店「亀屋衣料館」、ドラッグストア「ワンダーK」、書店「BUZZ（バズ）」、コンビニエンスストア「サークルK」（子会社サークルケイ・ノースジャパン運営）、ハンバーガーショップ「タートリアン・ハンバーガー」（後に子会社タートリアンに移管）など、多角的な事業展開を行っていました。

青森市内には「ジョイフルシティみなみ」を2店舗展開し、十和田市には「ジョイフルシティ十和田亀屋」、野辺地町には「ジョイバリュー」といった大型店舗も展開していました。

経営破綻とその後

毎年恒例のキャンペーン「お買い物大作戦」を実施し、テレビCMも積極的に放映するなど、積極的な経営を行っていました。しかし、2000年（平成12年）に開店したジョイフルシティみなみ西バイパス店の売上が予想を大きく下回り、経営が悪化。2001年（平成13年）10月に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産しました。

当時、青森県最大のスーパーマーケットだっただけに、その倒産は県内に大きな衝撃を与えました。その後、協同組合セルコチェーンへの譲渡が決定しましたが、わずか1ヶ月余りで民事再生手続きが廃止されました。その理由は、亀屋側が再生手続き中に重要な経営情報を開示せず、曖昧な報告を繰り返したため、裁判所側の不信感を招いたためとされています。

青森地方裁判所は再生手続廃止を決定し、2002年（平成14年）1月に破産宣告。店舗は2001年（平成13年）12月中に全て閉店となりました。

その後、マックスバリュ東北などの同業者が閉店した店舗と従業員の一部を譲り受け、営業を再開した店舗がほとんどでしたが、一部では買い手が見つからず、解体されるなどの措置が取られました。

倒産直前には、企業年金（適格退職年金）を解約し、従業員に支払われるはずの返戻金を会社の運転資金に流用していたことも判明。従業員は職と退職金の両方を失う事態となりました。この件は裁判となり、後に返戻金を労働債権とする事で和解しています。

年表

1951年（昭和26年）10月15日 - 南勘二が「みなみ洋品店」を設立
1956年（昭和31年）4月5日 - 「株式会社みなみ洋品店」に改組
1962年（昭和37年） - 「株式会社亀屋」を設立し、食品スーパーに進出
1964年（昭和39年）6月 - 「株式会社みなみ洋品店」を「株式会社亀屋みなみ」に商号変更
1969年（昭和44年）4月 - 「北日本セルコ」を設立
1973年（昭和48年）1月 - 「みなみ百貨店」を設立
1975年（昭和50年）3月 - 「タートリアン」を設立
1982年（昭和57年）11月 - 有限会社八戸亀屋と株式会社亀屋みなみを合併し、「株式会社亀屋みなみチェーン」に商号変更
1986年（昭和61年）4月11日 - 株式会社サークルケイ・ノースジャパン設立
2000年（平成12年）6月23日 - ジョイフルシティみなみ西バイパス店開店
2001年（平成13年）10月22日 - 青森地裁に民事再生法の適用を申請
2002年（平成14年）1月10日 - 破産宣告

過去に存在した業態

K・バリュー：食品のパワーセンター業態

過去に存在した店舗（一部）

青森市：みなみ百貨店、古川店、国道店、石江店、相野店、佃店、浪打店、堤店、旭町店、浦町店、久須志店、桜川店、浪館店、油川店、幸畑店、筒井店、沖館店、三内店、大野店、戸山店、東バイパス店、新城店、観光通り店、駅ビルラビナ店、ジョイフルシティみなみ東バイパス店、造道店、小柳店
弘前市：百石町店、下町店、城東店、城北店、弘高下店、K・バリュー大清水店、松森店
五所川原市：いぬい橋店、松島店
黒石市：黒石店
南津軽郡：浪岡店
北津軽郡：板柳店
むつ市：K・バリューむつ中央店
上北郡：ジョイバリュー野辺地店
十和田市：十和田店、北園店、大学通り店、元町店
三沢市：三沢店、岡三沢店
三戸郡：五戸店
* 八戸市：上組店、下組店、多賀台店、吹上店、旭ヶ丘店、K・バリュー河原木店


亀屋みなみチェーンの盛衰は、地方スーパーマーケットの厳しい現実を物語っています。積極的な多角化戦略も、時代の変化に対応できず、最終的には破綻という結末を迎えました。しかし、その店舗跡は、マックスバリュ東北などの同業他社に引き継がれ、現在も地域住民の生活を支え続けています。

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