亀山本徳寺

亀山本徳寺は、兵庫県姫路市亀山に位置する浄土真宗本願寺派の寺院で、山号を霊亀山と称します。本尊は阿弥陀如来で、「亀山御坊」や「亀山御堂」とも呼ばれています。その起源は、永正12年（1515年）に蓮如の門弟である空善が、飾磨郡英賀の英賀城下に本堂（英賀御堂）を開山したことに遡ります。

歴史

当初、本徳寺は播磨三木氏の庇護のもと発展しましたが、天正8年（1580年）に羽柴秀吉による英賀城攻めの際、戦火を避けるため、秀吉に寄進された亀山へ移されました。現在の伽藍の一部は、英賀から解体され移築されたものとされています。

慶長7年（1602年）に本願寺教団が東西に分裂すると、本徳寺は姫路城に入った池田輝政の政策により西本願寺に属しました。その後、池田氏に代わって本多氏が姫路城主となると、元和4年（1618年）に本徳寺が分立し、東本願寺勢力は亀山から姫路城下の船場へと移りました（現在の姫路船場別院本徳寺）。その後、亀山は播磨国における本願寺派の根本道場として発展し、江戸時代には西国総録所として380以上の寺院を傘下に収めました。

明治時代以降は本願寺派の別格別院となり、戦後は一般寺院ながらも同派の由緒寺として今日に至ります。

伽藍と文化財

2万㎡の広大な境内には、本堂、大広間、庫裡、経堂といった兵庫県指定文化財をはじめ、多くの歴史的建造物が点在しています。本堂は県内有数の大型仏堂であり、明治元年（1868年）の火災で焼失した後、西本願寺の北集会所を移築したもので、妻入りの珍しい形式が特徴です。この北集会所は、かつて新撰組が屯所として使用していた時期もありました。

その他にも、大玄関等15棟、「親鸞聖人絵巻」（全4巻）などが姫路市指定文化財となっています。また、松原八幡神社の祭礼「灘のけんか祭り」の八家村地域の屋台の太鼓は、元禄15年（1702年）に姫路城の登城太鼓として作られ、後に亀山本徳寺が譲り受け、さらに八家村へと贈られたという由緒があります。

県指定文化財

本堂: 元文三年(1738年)築、正面九間・側面十一間半、三間向拝付、入母屋造・本瓦葺妻入
大広間: 18世紀中頃（推定）築、正面七間・側面十間半、入母屋造妻入、唐破風付、本瓦葺
庫裡: 延享4年9月(1747年)築、主要部実長正面九間半・側面十間半、出入口唐破風付、入母屋造妻入、本瓦葺
経堂: 18世紀中頃（推定）築、方三間もこし付經堂、方形造、本瓦葺

市指定文化財

大玄関: 元禄4年8月(1691年)築、正面三間・側面五間・唐破風本瓦葺
表書院: 19世紀前半（推定）築、正面五間・側面十一間、入母屋造妻入、本瓦葺
奥書院: 天正14年(1586年)、主要部正面五間半・側面六間、入母屋造、桟瓦葺
内道場: 18世紀中頃（推定）築、正面五間・側面三間・切妻屋根
太鼓楼: 18世紀中頃（推定）築、下層正面三間・側面四間、上層方二間、上下層とも入母屋造、本瓦葺
大門: 嘉永年間(1848～1854)築、一間一戸四脚門、切妻造、本瓦葺
茶所: 主要部実長正面六間、側面四間、入母屋造、本瓦葺
大広間北殿（桜の間）: 18世紀頃（推定）築
中門: 18世紀中頃（推定）築、切妻・本瓦葺
長屋塀・北門・芝倉: 18世紀中頃（推定）築、正面三間・側面十五間・切妻・本瓦葺
米倉（穀物倉庫）: 18世紀中頃（推定）築、正面三間・側面五間・切妻・本瓦葺
蔵2棟: 18世紀中頃（推定）築、正面二間・切妻

その他、境内には、中宗堂（蓮如堂）、鐘楼、納骨壇、亀山本徳寺廟所などが点在しています。

ロケ地としての利用

亀山本徳寺は、その歴史的な景観から、数多くの映画やテレビドラマのロケ地としても利用されています。

NHK大河ドラマ「新選組!」（2004年作品）
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」（2014年作品）
映画「本能寺ホテル」（2017年公開）
映画「関ヶ原」（2017年公開）

アクセス

山陽電鉄 亀山駅から東へ200m
神姫バス 西亀山バス停下車、東へ30m
94系統 姫路駅 ←→ 姫路港

周辺情報

周辺には、灘菊酒造、姫路恵美酒郵便局、手柄山中央公園などの施設があります。

関連事項

真宗大谷派 姫路船場別院 本徳寺（船場御坊）
* 兵庫県指定文化財一覧

亀山本徳寺は、その歴史と文化を今に伝える貴重な場所です。訪れる人々は、その静寂な空間の中で、歴史の重みを感じることができるでしょう。

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