亀成川

亀成川（かめなりがわ）

概要

亀成川は、千葉県印西市を流れる、利根川水系に属する一級河川です。印西市牧の原5丁目付近の亀成川調整池を源流とし、北西方向に流れています。全長は7kmを超える比較的小規模な河川ですが、流域には多様な自然環境と人々の生活空間が共存しています。

地理・環境

上流部では、両岸や橋梁が整備されており、散策路としても利用されています。北総台地を抜けるにつれて川幅は広がり、複数の支流と合流します。亀成付近で浦部川を合わせると、川は北へと向きを変え、手賀沼（下手賀沼）沿いの低地へと流れていきます。最終的に、下手賀川に合流します。

亀成川は、利根川とは逆の東から西へ流れるため、「逆川」という通称で呼ばれることもあります。ニュータウン開発に伴い、川幅が広げられたため、上流から中流にかけては水深が浅いのが特徴です。

流域には、谷津田や斜面林が広がり、ニュータウンに隣接しながらも豊かな自然環境が残されています。上流部には「別所緑地」が形成され、湿地、草地、樹林地が連続した生態系を形成しています。この地域は、環境省の「重要な湿地500」にも選定されており、多様な動植物が生息する貴重な場所となっています。

水生生物としては、モツゴ、ヌマチチブ、ヨシノボリ、ドジョウ、ブルーギル、スジエビなどの魚類、イシガイ、ドブガイ、マシジミ、ヒメタニシ、カワニナなどの貝類、オオモノサシトンボ、トラフトンボ、ヨツボシトンボ、コオイムシ、オオミズスマシ、オナガアゲハなどの昆虫類が確認されています。また、重要保護生物であるキイロサナエも生息しています。かつてはタナゴ類や二枚貝も生息していましたが、河川改修後は見られなくなっています。このため、手賀沼周辺では、亀成川上流部の水辺環境保護・再生の必要性が提唱されています。

2010年には、NPO団体「亀成川を愛する会」が設立され、亀成川上流のみならず、ニュータウン開発に対する草深原の保全活動も行われています。

治水

1960年代には、手賀沼土地改良区による水田整備が行われましたが、ニュータウン開発が進むにつれて、従来の川幅では大雨時に氾濫の危険性が高まりました。そのため、1976年から亀成川全区間で水害防止のための拡幅工事が開始されました。事業主体は、鹿黒橋を境に下流が千葉県印旛土木事務所、上流が住宅・都市整備公団（現・都市再生機構）でした。下流区間は国庫補助事業として行われ、1994年度中に完了しました。1995年からは、別所橋までの上流区間の用地交渉が始まりました。

川幅は、鹿黒橋付近で約29m、最上流部で約18mとなっています。両岸は、橋梁や樋門を除き、芝張りの自然護岸となっています。当初は上流3期区間も含め2001年度に工事完了予定でしたが、用地取得や橋梁改修の進捗状況に合わせて、2011年まで工期が延長されました。現在も、亀成川調整池接続点や橋梁など、整備が続いている箇所があります。

両岸堤防には、遊歩道が整備されています。かつてはサイクリングロードの要望もありましたが、幅員が確保できなかったため実現しませんでした。

支流

亀成川には、以下の支流が合流しています（上流から順に記載）。

古新田川
大森川
鹿黒川
浦部川
和泉川

これらの支流も、すべて一級河川に指定されています。

主な橋

亀成川には、数多くの橋が架かっています。以下に、上流から主な橋を記載します。整備中の上流部は、橋梁名が未定のものも多く、今後名称が定まる可能性があります。

もとの橋
京免一号橋
滝1号橋
逆川橋
根郷橋
別所橋
御所橋
ほたる橋
見乗寺橋
和田戸第二橋
和田戸第一橋
古新田橋
小屋ノ内橋
鹿黒橋 - 千葉県道・茨城県道4号千葉竜ヶ崎線
仲田橋
堂下橋
花輪橋
地子谷橋
小山橋
水神橋
亀成橋 - 千葉県道59号市川印西線
* 下前川橋

まとめ

亀成川は、印西市の自然と人々の生活を繋ぐ重要な河川です。上流部の豊かな自然環境は、多くの生物を育み、市民の憩いの場となっています。また、河川改修によって水害対策が進められるとともに、市民団体による保全活動も活発に行われています。今後も、亀成川の環境保全と持続可能な利用が求められています。

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