予南作戦

予南作戦の概要

予南作戦（よなんさくせん）は、日中戦争の期間中である1941年1月20日から2月12日までの間、河南省の南部地域で実施された日本軍の軍事作戦です。この作戦は、湯恩伯将軍が指揮する中国軍が接近したことに対し、日本の第11軍が先制攻撃を行って撃退しようと試みたものであり、作戦の暗号名は「和号作戦」として知られています。中国側ではこの戦闘を「豫南会戦」と呼称しています。

背景

昭和16年の1月2日、湯恩伯軍（第31集団軍）の所在が遂平・項城付近で確認されました。湯恩伯軍は前年度から日本軍と交戦を続けており、そのため第11軍にとっては宿敵であると言えました。日本軍は、湯恩伯軍が東進して新四軍討伐を狙っていると考え、給養の関係でしばらくはその位置に留まると予想しました。この判断を基に、第11軍は決戦を求めるための作戦を組織しました。

交戦の構成

日本側の戦力には第11軍があり、軍司令官は園部和一郎が務めていました。第11軍の下には第3師団、第17師団、第40師団が配置され、戦車部隊も含まれていました。一方、中国軍は第5戦区の司令長官である李宗仁が指揮し、湯恩伯が総司令を務める第31集団軍が展開されていました。

作戦の経過

日本軍は、作戦を襄陽方面への攻勢のように見せかけるため、まず陽動攻撃を行い、1月24日夜には第3師団に命じて信陽北側の陣地を急襲しました。湯恩伯軍を誘い出して退路を遮断する狙いがありましたが、中国軍は強固な抵抗を見せました。25日以降、日本軍はさらに攻勢を強め、26日には追撃を開始し、湯恩伯軍を次々と撃破していきました。

1月30日、日本軍は湯恩伯軍の撃破に成功したと判断しましたが、孫連仲軍が救援に向かっていたため、第3師団に南陽攻略の準備を命じ、2月1日には第59軍の一部を打破して南陽を制圧しました。作戦は2月12日に終了され、北支那方面軍も作戦に合わせて中国軍を圧迫する活動を展開しました。

結果

予南作戦において中国軍は約95,000人、与えた損害は約16,000人に達したとされます。対し日本軍の損害は比較的軽微でした。作戦中、日本軍は6000本以上の軌条や約1,000トンに及ぶ物資を集積し、効率的な補給が行われました。

この作戦は、昭和16年度の作戦方針の新しい構想が試される場となり、「活発、短切なる作戦」として総合的に評価されました。第11軍はこの成果を基に、さらなる訓練と作戦に備えることとなり、夏秋にはより大規模な作戦（第一次長沙作戦）を控えて、各部隊に短期間での戦力向上を指示しました。

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