二千石

二千石（にせんせき）

二千石とは、中国の漢王朝において官僚の等級と俸給（秩石）を示す用語です。漢代の官僚の秩石は万石から百石まで細かく定められており、その等級に応じて俸給が支給されました。俸給は半分が穀物、半分が銭で支給されたとされています。

二千石は、主に地方の長官である郡太守などの高官が該当する等級でした。さらに、俸給額に応じて以下の4種類に分類されていました。

中二千石: いわゆる九卿が該当し、月あたり180斛が支給されました。
真二千石: 前漢末期の州牧などが該当し、月あたり150斛が支給されました。
二千石: 郡太守や太子太傅、司隷校尉などの官が該当し、月あたり120斛が支給されました。
比二千石: 郡都尉や丞相司直、光禄大夫、中郎将などが該当し、月あたり100斛が支給されました。

これらの高官は総称して「吏二千石」と呼ばれることもありました。二千石以上の官には、皇帝の許可なく逮捕できない特権や、兄弟や子供を官吏に取り立てることができる任子などの特権が付与されていました。比二千石以上の官が持つ印綬は、銀印青綬でした。しかし一方で、皇帝陵の近傍に皇帝陵を守るための陵県が作られる際には、二千石の官僚が強制的に移住させられる対象となることもありました。

二千石の官の中でも、特に郡の長官である郡太守や諸侯王の相は、「二千石」という言葉自体が彼らを指す代名詞として用いられることがありました。

転用

漢代において郡太守の代名詞として使われたことから転じて、後世では知事などの地方長官を「二千石」と表現する用法も生まれました。また、日本の律令制においては、国司の長である守（かみ）の唐名の一つとして「二千石」が用いられました。

参考文献

『漢書』巻19上百官公卿表上
『続漢書』志28職官志五

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