丞相司直

丞相司直（じょうしょうしちょく）は、古代中国の前漢および後漢時代に存在した官職であり、「司直」と略されることもあります。

職務と地位

丞相府に属し、官僚の監察を主な職務としていました。官僚の不正や職務怠慢を監視し、必要に応じて弾劾する役割を担っていました。その秩禄は比二千石であり、官僚としての席次は、同じく監察の役割を担う司隷校尉よりも上位に位置づけられていました。

設置と変遷

武帝の元狩5年（紀元前118年）に初めて設置されました。前漢末期の哀帝の元寿2年（紀元前1年）には、丞相が「大司徒」と改称されたことに伴い、「大司徒司直」と呼ばれるようになりました。王莽が簒奪し新を建国した後も、この官職は存続しました。

後漢の光武帝の時代にも一時的に存在しましたが、建武18年（42年）に一度廃止されました。しかし、後漢末期の献帝の建安8年（203年）に復活し、司徒の管轄下には属さず、中央政府の官僚を監察する役割を担いました。

三国時代の魏以降、丞相司直に関する記録は見当たらず、この官職は歴史から姿を消したと考えられています。

役割

丞相司直は、官僚機構の腐敗を防止し、綱紀粛正を図る上で重要な役割を果たしました。皇帝を補佐する丞相の直属として、政府内の不正を監視することで、政治の安定に貢献したと考えられます。司隷校尉のような他の監察官を含む官僚の監察弾劾を行ったことからも、その職務の重要性が窺えます。

まとめ

丞相司直は、前漢から後漢にかけて存在した官僚監察の要職であり、その設置、変遷、そして役割を通して、古代中国の官僚制度の一側面を知ることができます。

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