二又風力発電所

二又風力発電所：世界初のスマートグリッド型風力発電所

青森県上北郡六ヶ所村に所在する二又風力発電所は、二又風力開発株式会社が運営する風力発電所です。2008年5月に運転を開始し、34基もの風力発電設備を擁しています。

画期的な蓄電池併設型

この発電所の最大の特徴は、世界で初めて大容量蓄電池を併設したスマートグリッド型の風力発電所である点です。風力発電の不安定な出力を蓄電池で補い、電力系統への出力を一定に保つとともに、深夜に蓄電した電力を日中に供給することを可能にしました。

発電所の詳細

風力発電設備: 1,500kW × 34基、合計51,000kW
蓄電設備: ナトリウム・硫黄電池 2,000kW × 17ユニット（常時15ユニット併入）
交流・直流変換設備: 2,000kW × 17ユニット（常時15ユニット併入）
連系変圧器:
一次電圧（系統側）：154kV(60MVA)
二次電圧（風車側）：22kV(60MVA)
* 三次電圧（蓄電池側）：6.6kV(40MVA)

スマートグリッド実証実験

二又風力発電所では、2008年8月から東北電力と共同で、出力一定制御型風力発電所としての技術検証が行われました。その結果、電力系統への周波数変動などの影響がほぼゼロに抑えられていることが確認されました。

2010年9月16日からは、日本風力開発、トヨタ自動車、パナソニック電工、日立製作所の4社共同で、既存の電力系統から独立したクローズドグリッドを構築。村内の分譲地に建設された6棟のスマートハウスやハイブリッドカー「プリウス」を活用した生活実験、自動検針や系統制御実験などが実施されました。

2011年3月の東日本大震災時には、六ヶ所村内で停電が発生しましたが、二又風力開発の事務所とスマートグリッド実証住宅には電力が供給され続け、その有用性が実証されました。

電力供給先

2010年4月からは、東北電力と東京電力の送電網を通じて、東京の新丸の内ビルディングに「生グリーン電力」を供給しています。

周辺施設

二又風力発電所の隣接地には、日本風力開発株式会社が運営する六ヶ所村風力発電所と六ヶ所村風力第2発電所があります。

まとめ

二又風力発電所は、風力発電の課題であった出力の不安定さを蓄電池で克服し、安定した電力供給を可能にした画期的な発電所です。スマートグリッド技術の実証実験を通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。その先進的な取り組みは、風力発電の未来を示すモデルケースと言えるでしょう。

もう一度検索