二四諸国

二四諸国（にじゅうよんしょこく）

二四諸国は、現在のネパール中央部に位置するガンダキ地方（概ね、今日のガンダキ県やダウラギリ県にあたる地域）に、それぞれが独立して統治した小規模な王国群を指します。この名称はネパール語で「チョウビシ・ラージヤ（चौबिसी राज्य）」と呼ばれます。

歴史的背景

ヒマラヤ山脈南麓に栄えたカサ王国の勢力が衰退し消滅した後、その版図であったネパール西部や中部には多数の小国家が乱立しました。カルナリ地方には「二二諸国」と呼ばれる小王国群が出現しましたが、同様にガンダキ地方でも、現地の有力者らが支配する小規模な王国が割拠する状態となりました。これが二四諸国と呼ばれる王国群です。

名称について

「二四」という数字は厳密な数を意味するものではありません。これはおよそ20数カ国を指す漠然とした呼称であり、正確に24カ国が存在していたわけではないとされています。歴史研究家の佐伯和彦氏も、この数字が概数として用いられていたことを指摘しています。

主な構成国

存在が確認されている二四諸国に含まれる主要な王国としては、以下のような国々が挙げられます。

パルパ
パルバト
グルミ
アルガ
カンチー
カスキ
ラムジュン
タナフン
ヌワコート
リシン
ギリン
パイユン
ビルコート
ドール
ガフラン

これらの王国群の中で、特にパルパは二四諸国の中で最も勢力が強く、周辺地域に影響力を持っていました。

ゴルカ王国との関係と統合

同じガンダキ地方には、後にネパール王国を建国するゴルカ王国も存在していました。しかし、当初は二四諸国に比べて規模が小さかったため、ゴルカ王国がこの二四諸国の中に数えられることは一般的ではありませんでした。

しかし、ゴルカ王国は徐々に国内を整備し、軍事力や国力をつけていきました。そして、その勢力を拡大し始めます。特に、ゴルカ王国の王プリトビ・ナラヤン・シャハは、周辺の小王国を征服し、領土を広げる政策を積極的に推進しました。彼の後を継いだプラタープ・シンハ・シャハ、そしてラナ・バハドゥル・シャハと、3代にわたるゴルカ王国の王たちは、戦略的に二四諸国を次々と攻撃し、支配下に置いて自国に組み込んでいきました。この二四諸国の統合は、ゴルカ王国が後のネパール王国へと発展し、現在のネパールを形成する上で重要な過程となりました。

このように、二四諸国はネパール中部の歴史において、多数の小国家が栄枯盛衰を繰り返した時代を象徴する存在です。最終的にはゴルカ王国による統合によって、その歴史的な役割を終えました。

関連事項

二二諸国 - ネパール西部のカルナリ地方に割拠した、二四諸国と同様の小王国群。

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