二式二号電波探信儀一型

二式二号電波探信儀一型について

二式二号電波探信儀一型（通称：2式2号電探）は、日本海軍が艦艇用に開発した対空警戒レーダーである。このレーダーは、海上での航空機の探知能力を向上させるために設計され、他のレーダーシステムと共に海軍の防空戦力を支える重要な役割を果たしていた。

概要と特徴

二式二号電波探信儀一型は、陸上用の一号二型を基にして艦載用に改良されたもので、使用波長は1.5m、尖頭出力は5kWである。最大感度法を用いたこのレーダーは、重量が約840kgで、ダイポールアンテナを4列3段または4列4段といった構成で配置し、効果的な探知能力を持つ。具体的には、アンテナの幅は3,300mm、高さは1,830mm（六型の場合）で、艦艇の後方や側方に対空網を張る形で設計されている。このレーダーは、1942年5月に戦艦「伊勢」に搭載され、その後の実験で単機の航空機や戦艦を遠距離から探知することに成功した。

運用実績と改良

二式二号電波探信儀一型は、実際の運用において単機を最大70km、編隊での探知距離は100kmに達した。当初は機器とアンテナが一体となって回転していたが、後にはアンテナのみの回転に改良され、より効率的な運用が可能となった。また、1942年6月頃から、空母「翔鶴」や隼鷹型航空母艦など多くの艦艇に搭載が始まり、その後も戦艦や巡洋艦、駆逐艦に順次装備された。

その後、同レーダーの後継として小型軽量な一号三型が実用化され、対空レーダーの整備の主力は一号三型へと移行したが、二式の一型はそのまま使用され続けさんた。場合によっては秋月型駆逐艦のように、対水上用の二号二型と交換されることもあった。

武蔵でのデモンストレーション

1942年10月中旬に、大和型戦艦「武蔵」が21号電探を運用した際には、水上偵察機を80kmの距離で探知することができた。この成果を受けて、通信長の松井は100ページにも及ぶ電探の解説書を艦長の有馬馨に提出し、その後200部を謄写し各艦に配布されると、非常に好評を得た。また、10月28日には現地改造によって最大目盛を150kmから50kmに切り替え、実際の対艦水上レーダーによる砲撃訓練を行うなど、実戦での運用に向けた調整が進められた。これにより、46cm砲の発射による衝撃で機器が故障する事もなくなったとされる。

参考文献

• - 雑誌『丸』編集部『写真 日本の軍艦 第3巻 空母I』（光人社）
• - 雑誌『丸』編集部『写真 日本の軍艦 第4巻 空母II』（光人社）
• - 雑誌『丸』編集部『写真 日本の軍艦 第11巻 駆逐艦II』（光人社）
• - 電波監理委員会『日本無線史 第10巻 海軍無線史』
• - 長谷川藤一『軍艦メカニズム図鑑-日本の航空母艦』（グランプリ出版）
• - 松本喜太郎他『戦艦「大和」開発物語 最強戦艦誕生に秘められたプロセス』（光人社NF文庫）

関連項目

• - レーダー
• - 電波探信儀
• - 三式一号電波探信儀三型（13号電探）
• - 大日本帝国海軍兵装一覧

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