有馬馨

有馬馨：帝国海軍を支えた軍人 - 輝かしい経歴と太平洋戦争-

有馬馨(ありま かおる、1893年-1956年)は、日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍中将に上ります。宮崎県に生まれ、1914年12月、海軍兵学校を卒業。翌年には海軍少尉に任官し、華々しい海軍人生の幕開けを告げました。

海軍での初期のキャリアは、様々な艦艇での勤務経験から構成されます。「球磨」「浅間」での分隊長、「第五号駆逐艦」の砲術長、「金剛」での分隊長など、実践的な経験を積み重ねました。その後、1927年に海軍大学校を卒業し、海軍における知識と教養をさらに深めています。

その後、有馬は着実に昇進していきます。1926年12月には海軍少佐、1932年1月には海軍中佐に昇進。軍令部参謀や海軍大学校教官を兼任するなど、指導的立場で海軍に貢献しました。さらに1936年12月には海軍大佐に昇進、第一戦隊や第三戦隊の参謀を歴任。その経歴には、海軍の主要な部隊や機関における勤務経験が刻まれています。

日中戦争の勃発以降、有馬の活躍はさらに目覚ましいものになります。第二艦隊参謀、支那方面艦隊参謀、教育局第2課長などを歴任し、日本の軍事的戦略や教育に重要な役割を果たしました。1939年11月には「熊野」艦長に就任し、艦長としての経験も積み重ねています。その後、「比叡」艦長、佐世保鎮守府付を経て、1941年9月には「二号艦」(のちの「武蔵」)の艤装員長に就任、そして1942年8月には、超弩級戦艦「武蔵」の初代艦長に就任しました。

1942年11月には海軍少将に昇進。戦局が激化する中、有馬は軍令部出仕、海兵教頭兼監事長、呉練習戦隊司令官などを歴任。1944年2月には第4根拠地隊司令官兼第二海上護衛隊司令官に就任し、トラック島付近の防衛と海上護衛という重要な任務を担いました。さらに、第四艦隊参謀長兼補給長、南西方面艦隊司令部付、第31特別根拠地隊司令官などを歴任しました。1944年11月には南西方面艦隊参謀長となり、第13航空艦隊参謀長、第三南遣艦隊参謀長を兼務するなど、多忙な日々を過ごしました。

終戦後、1945年11月には海軍中将に昇進。しかし、1947年11月28日には公職追放仮指定を受けますが、1949年1月に復員しました。

有馬馨は、昭和15年から終戦までの5年間にわたる自身の経験をまとめた文書を遺しており、2001年に『帝国海軍の伝統と教育　― 付・比島作戦の思い出 ―　戦艦武蔵初代艦長　南西方面艦隊参謀長有馬馨の遺稿』として出版されました。この著作は、帝国海軍の伝統や教育、そして有馬自身の戦争体験を知る上で貴重な資料となっています。有馬馨の生涯は、激動の時代を生きた帝国海軍軍人の典型と言えるでしょう。その経歴と業績は、日本海軍史における重要な一章を飾るものです。彼の経験と記録は、歴史を研究する者にとって、貴重な知見を提供し続けています。

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