二式十二糎迫撃砲

二式十二糎迫撃砲について

二式十二糎迫撃砲（にしき12せんちはくげきほう）は、大日本帝国陸軍が開発した迫撃砲です。1943年8月に正式に制定され、主に迫撃砲隊の主要火器として用いられました。この砲は滑腔砲として設計されており、翼のある砲弾を発射することが特徴です。

製造・設計の背景

従来の迫撃砲の中では、九六式中[[迫撃砲]]が722kg、九七式中[[迫撃砲]]は340kgという重量であったため、運用の困難さが問題となっていました。これに対処するため、製造と運用が簡単な120mm口径が選定され、ストークブラン式迫撃砲を模倣して設計されました。この結果、砲弾の威力がやや低下することになりましたが、運用のしやすさが重視されました。

二式十二糎迫撃砲は、墜発（弾を落として発射）と撃発（射撃機構を用いて発射）の両方に対応しています。撃発の際には、砲尾の撃針を後退させ、砲口から弾薬を装填します。この後、照準が完了すると、撃針を元に戻し、木槌で叩いて発射する方式が採用されました。また、射程も軽迫撃砲や中迫撃砲に比べて若干延びていますが、国際標準の同口径の重迫撃砲に対しては劣る性能でした。

開発過程

二式十二糎迫撃砲の開発は1941年6月に始まりました。最初に試製された十二糎迫撃砲は、複数の砲身長をテストするなどの試験が行われ、その結果、1535mmの一体型砲身が採用されました。続いて1942年には弾道試験や実用試験が行われ、最終的に1943年に制式化に至りました。開発が進む中、同様の砲兵器である試製機動十二糎迫撃砲も設計されましたが、最終的には研究が中止されました。この機動型は、従来の二式十二糎迫撃砲より発射距離が長く、重さが増したため自動車牽引に適応されていました。

配備状況

二式十二糎迫撃砲は、製造の容易さからおもに本土決戦に備えるために編成された機動打撃師団に配備する予定でした。各迫撃砲連隊に36門ずつ備えられる計画でしたが、終戦を迎えたため、予定通りに配備されることはありませんでした。加えて、南方作戦に応じて増設された師団の砲兵隊にも配備されたとの記録がありますが、具体的な数や状況については詳細は不明です。

本砲は他にも陸軍特種船に搭載されており、対潜兵器としても活用されました。神州丸やあきつ丸などの船舶にも装備され、特2TL型山汐丸のような形で陸軍が運用する予定の護衛空母にも載せられました。このように、二式十二糎迫撃砲は戦中の様々な用途で活用されることになりました。

生産状況

本砲の生産は1943年度に4門、1944年度に500門、1945年度に191門が製造され、合計695門が記録されています。終戦までに750門が生産された可能性も指摘されていますが、正確な数は確認されていません。最後の戦況変化に伴い、さらに需要が高まったことも影響しているでしょう。

総じて、二式十二糎迫撃砲は技術の進化を背景にした日本陸軍の迫撃砲として、他国の砲兵器と比較しながら発展していった武器の一つだといえます。

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