二聖モスクの守護者

二聖モスクの守護者

二聖モスクの守護者（にせいモスクのしゅごしゃ）は、アラビア語で「خَادِمُ ٱلْحَرَمَيْنِ ٱلشَّرِيفَيْنِ」（Khādim al-Ḥaramayn aš-Šarīfayn）と表記される、イスラム教国の支配者が使用してきた非常に重要な称号です。この名は「二つの高貴な聖域のしもべ」や「二つの聖なる都市の守護者」としても知られています。現代では、この称号はサウジアラビアの国王が保持しており、イスラム教徒にとって特に神聖な場所であるメッカのマスジド・ハラームとメディナの預言者のモスクを守る義務を示しています。

歴史的背景

この称号の歴史は非常に古く、最初に使った人物として考えられているのは、アイユーブ朝のサラーフッディーン（サラディン）です。彼は、近隣の諸国を征服し、イスラム世界の守護者として名を馳せました。1517年にマムルーク朝を破り、メッカとメディナを手に入れたオスマン帝国のスルタン、セリム1世がこの称号を採用し、以来、彼の後継者たちもこの称号を名乗りました。興味深いことに、スルタンは「両聖地の支配者」という名称よりも、「両聖地のしもべ」と名乗ることに重きを置いていました。このアイデンティティは、最後のスルタンであるメフメト6世まで維持されました。

サウジアラビアの国王の中で、この称号を最初に名乗ったのはファイサル王であり、彼の治世（1964年〜1975年）においてこの称号が公式に使用されました。ファイサル王の後を継いだハーリド王はこの称号を名乗らなかったものの、その後のファハド王が称号を受け継ぎ、従来の「陛下（His Majesty）」の表現をこれに置き換えました。そして現在の王であるサルマーン王も、2015年1月に前任のアブドゥッラー王が亡くなった後にこの称号を得ました。

重要性と役割

「二聖モスクの守護者」という称号は、証明された宗教的権威を象徴しています。メッカとメディナは、いずれもイスラム教徒にとって透明な聖地であり、毎年数百万の巡礼者が訪れます。この称号は、単なる名誉ではなく、聖地を守る重責を伴います。守護者は、これらの聖なる場所の維持や、巡礼者が安心して訪れることができるような環境をつくる義務があります。

関連項目

この称号があることから、他にもいくつかの関連項目が存在します。「アミール・アル・ムーミニーン」は「信徒たちの長」を意味し、これも重要な称号です。また、イスラム教の宗教都市やエルサレム・イスラム・ワクフに関しても、このタイトルに関連する要素が見られます。歴史的な背景を知ることは、現代のイスラム教の構造を理解する上で非常に大切です。

このように、「二聖モスクの守護者」という称号は、サウジアラビアの国王にとっての大きな責任と光栄を表すものであり、イスラム教における重要な位置づけを持っています。

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