二銭硬貨

二銭硬貨の詳細

二銭硬貨は、明治時代に日本で発行された額面を持つ硬貨の一つです。その価値は1円の50分の1であり、1873年（明治6年）に二銭銅貨として初めて発行されました。この硬貨は、1953年（昭和28年）の小額通貨整理法により、その通用が停止され、現在では法定通貨としての効力は持っていません。

二銭銅貨の仕様

品位: 銅98%、錫1%、亜鉛1%
量目: 14.256g
直径: 31.818mm
図柄:
表面: 竜図（吽竜）、年号、「大日本」、「2SEN」
裏面: 「二錢」、菊花紋章、菊枝と桐枝、「五十枚換一圓」
周囲: 平滑
発行開始: 1873年（明治6年）

発行の背景と経緯

二銭銅貨は、1871年（明治4年）に施行された新貨条例に基づいて発行された貨幣の一つです。当初、金貨や銀貨の製造は開始されたものの、銅貨については二銭銅貨は制定されていませんでした。代わりに一銭銅貨、半銭銅貨、一厘銅貨が制定されましたが、銅貨製造所が未完成だったため、これらの銅貨は試作品が少量製造されたに過ぎず、実際に流通することはありませんでした。

1873年（明治6年）に銅貨のデザインが改正され、この時に二銭銅貨が新たに品目として追加され、正式に発行されました。硬貨の表面には、元首の象徴として竜の図柄が採用されました。金貨や銀貨には阿竜が用いられましたが、銅貨には口を閉じた吽竜が採用されました。この竜図は、明治10年銘を境に、前期の「角ウロコ」と後期の「波ウロコ」に分けられます。

また、裏面の上部には「五十枚換一圓」と、円との交換比率が明記されているのが特徴です。さらに、国際化に対応するため、表面には「2SEN」とアラビア数字とローマ字で額面金額が表記されました。同じ新貨条例に基づく竜一銭銅貨や半銭銅貨と同様のデザインであり、量目も比例関係にありました。

製造と流通

二銭銅貨は、明治6年銘から明治17年銘まで製造されましたが、明治11年銘と明治12年銘は存在しません。これは、1878年（明治11年）と1879年（明治12年）には明治10年銘のものが製造されたためです。特に発行初年の明治6年銘は、製造枚数と現存枚数が少ないため、希少価値が高いとされています。

二銭銅貨は、その直径が大きいために使い勝手が悪く、竜一銭銅貨や半銭銅貨が十分に発行された1888年（明治21年）まで製造が続けられました。しかし、それよりも早く、1884年（明治17年）には、直径が小さすぎる一厘銅貨とともに製造が中止されました。

回収と鋳潰し

『明治財政史』によると、二銭銅貨は流通に不便な貨幣として、1877年（明治10年）から1897年（明治30年）9月にかけて回収・鋳潰しの対象となりました。特に1884年（明治17年）からは回収が本格化し、1890年（明治23年）から1894年（明治27年）にかけては、年間数百万枚から数千万枚のペースで回収・鋳潰しが進められました。

なお、明治25年銘の二銭銅貨は、シカゴ博覧会用に2枚のみ製造されたという記録があります。その後、二銭硬貨が復活することはなく、歴史の中に埋もれていきました。

関連項目

日本の補助貨幣
二銭銅貨（江戸川乱歩の推理小説）
* 二千円紙幣（日本の1と5以外の単位の紙幣・硬貨のうち、現在有効な唯一のもの）

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