于糜

于糜の生涯と歴史的背景

于糜（うび）は、中国の後漢時代末期に活躍した武将である。彼の生涯や事績に関する詳細な情報は限られているが、彼の活動は歴史書や小説において重要な位置を占めている。特に、彼の政治的背景や軍事的行動は、当時の中国における権力争いの一環として判断される。

正史における于糜の事績

于糜は、劉繇の配下として長江の横江津を拠点とし、樊能と共に行動していた。彼らは、将軍袁術の拡大を防ぐために連携し、戦略的な防御を展開した。袁術は恵衢、呉景、孫賁といった部下を送り、劉繇の地盤を攻撃する計画を立てる。しかし、于糜と彼の仲間たちの防衛は非常に堅固であったため、袁術側は数年にわたり攻撃を成功させることができなかった。

ところが、興平元年（194年）になると状況が一変する。孫策が呉景らを救援に送り込み、戦局は急速に動き出す。孫策は、于糜や樊能といった強固な守備を誇る敵軍を、瞬く間に打破する。さらに、劉繇が孤立していた牛渚の要塞も陥落させ、戦局を有利に進めることに成功した。

于糜と樊能は一度牛渚を取り戻したものの、その後、再び攻撃を受けることになり、撤退を余儀なくされる。以降、于糜についての記録は途絶えており、その後の運命は不明である。

小説『三国志演義』における于糜

また、小説『三国志演義』では于糜の人物像が別の形で描かれている。この物語の中では、於糜は孫策と一騎討ちを繰り広げるが、あえなく捕えられてしまう。さらに、彼を救おうとした樊能が孫策の威圧に驚き、落馬し亡くなるという悲劇的なシーンが展開する。孫策は于糜を抱え、自陣に戻るが、既に彼は窒息死しているという衝撃的な結末が待ち受けている。

このように、于糜は歴史と小説の中で異なる側面から描かれており、その姿は多くの読者や研究者に印象を与えている。亦、吉川英治の作品では、「干糜（かんび）」と異なる表記が用いられていることも興味深い。

参考文献

于糜に関する歴史的な情報は、正史『三国志』の呉書に記載されており、呉書4の劉繇伝や呉書1の孫策伝において彼の活躍を振り返ることができる。また、『三国演義』などの文学作品によって、物語としての彼の姿も楽しむことができる。これらの資料は、彼の人生や当時の戦況をより深く理解するための貴重な情報源となっている。

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