孫賁

孫賁（そん ふん）

孫賁（そん ふん/そん ほん、生没年不詳）は、後漢末期の武将・政治家であり、字は伯陽と称しました。彼は孫羌の子であり、孫堅・孫静の甥にあたります。弟に孫輔、従弟に孫策・孫権がおり、娘は曹彰の妻となるなど、名門一族の一員でした。『三国志』呉志「宗室伝」にその名が記されています。

生涯

幼少期に両親を亡くし、弟を献身的に養育したことから、その兄弟愛は広く知られました。後に仕官して郡の督郵守長にまで昇進します。

孫堅の挙兵から袁術傘下へ

叔父である孫堅が挙兵するとこれに参加し、孫堅の死後はその軍勢を引き継ぎ、遺体を故郷へと送り届けました。その後、袁術の傘下に入り、その命令で九江太守の周昂を陰陵で破る功績を挙げ、豫州刺史に任命されました。

江東での活躍

劉繇が袁術に敵対すると、丹陽を離れて歴陽に戻り、孫策が江東に進出するとこれを支援。樊能・張英を破り、劉繇を豫章へ追い込むのに貢献しました。孫策と共に袁術へ状況を報告するため寿春へ赴きます。

袁術の死と孫策への帰順

建安2年（197年）に袁術が帝位を僭称すると、九江太守に任命されますが、これに応じず妻子を捨てて江南へ帰還。孫策に従い、その勢力下に入りました。孫策が劉勲や黄祖を討伐する戦いにも従軍しました。

豫章太守として

建安4年（199年）に孫策が劉繇の病死を知り、豫章を平定すると、孫賁を豫章太守に任命し、都亭侯に封じました。建安5年（200年）には、曹操の取り計らいにより娘が曹彰に嫁ぎ、曹操との関係を深めます。

官渡の戦いの際には、夏侯惇から劉表を牽制するよう依頼されるなど、その立場は重要視されていました。建安13年（208年）には、朝廷からの使者により正式に征虜将軍に任じられ、豫章太守の職務も継続することとなります。しかし、曹操が荊州を占拠すると、曹操との姻戚関係から息子を人質として差し出すことを考えますが、朱治に諫止されます。

死没

豫章太守として11年務めた後、亡くなったとされています。後任の孫皎が征虜将軍を継ぎ、豫章太守は孫鄰、顧邵、蔡遺へと引き継がれました。これらの情報から、建安15年（210年）頃に死去したと推定されています。

小説『三国志演義』には登場しません。

参考文献

* 陳寿、裴松之注『正史 三国志』(ちくま学芸文庫)

脚注

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