五十嵐三津雄

五十嵐三津雄：郵政行政の要から通信業界の重鎮へ

五十嵐三津雄（いがらし みつお）は、1939年9月1日に北海道で生まれました。日本の郵政官僚として、そのキャリアを通じて重要な役割を果たし、郵政事務次官、簡易保険福祉事業団理事長、そしてKDDI代表取締役会長など、多岐にわたる要職を歴任しました。

生い立ちと初期のキャリア

北海道空知郡北村（現在の岩見沢市）出身の五十嵐は、北海道札幌南高等学校を経て、1963年に北海道大学法学部を卒業しました。大学では民法学を専攻し、川井健ゼミに所属していました。卒業後、郵政省に入省し、郵政官僚としての道を歩み始めました。

郵政省では、郵務局業務課長補佐、人事局管理課長補佐などの役職を経験し、1976年には東北郵政局郵務部長に就任。その後、東京郵政局郵務部長、郵務局服務課長と、着実にキャリアを積み重ねました。1981年からは電気通信政策局に移り、業務課長、監理課長を歴任。1984年には電気通信事業部監理課長、1985年には電気通信局総務課長に就任し、電気通信分野での専門性を高めていきました。

要職を歴任

1986年、五十嵐は大臣官房秘書課長に就任。1988年には電気通信局電気通信事業部長、1990年には大臣官房総務審議官と、重要な役職を歴任しました。1992年には大臣官房長、1993年には通信政策局長に昇進。1994年には電気通信局長に就任し、電気通信事業者の監督責任者として、NTTの児島仁社長との交渉などにあたりました。1996年には、郵政事務次官に就任し、郵政行政のトップとしてその手腕を発揮しました。

郵政省解体と民営化

事務次官時代には、橋本龍太郎内閣による行政改革に伴う省庁再編議論に直面しました。全国特定郵便局長会の政治力に依存し、政策的な議論を看過したという指摘もあり、その結果として郵政省は解体され、後の郵政民営化への道を開くこととなりました。この出来事は、五十嵐のキャリアにおける重要な転換点となりました。

退官後の活動

1998年に郵政省を退官後、五十嵐はKDDI代表取締役会長に就任し、通信業界での新たな役割を担いました。また、大川情報通信基金会長を務めるなど、情報通信分野の発展に貢献しました。

経歴詳細

1963年：郵政省入省
1967年：米沢郵便局郵便課長
1968年：石狩深川郵便局長
1969年：札幌郵便局人事部管理課長
1970年：東京郵政局人事部管理課長
1972年：郵務局業務課課長補佐
1973年：人事局管理課課長補佐
1976年：東北郵政局郵務部長
1978年：東京郵政局郵務部長
1980年：郵務局服務課長
1981年：電気通信政策局業務課長
1983年：電気通信政策局監理課長
1984年：電気通信事業部監理課長
1985年：電気通信局総務課長
1986年：大臣官房秘書課長
1988年：電気通信局電気通信事業部長
1990年：大臣官房総務審議官
1992年：大臣官房長
1993年：通信政策局長
1994年：電気通信局長
1996年：郵政事務次官
1998年：退官

五十嵐三津雄は、郵政行政の中枢から通信業界のリーダーへと、そのキャリアを通じて日本の社会基盤を支える重要な役割を担いました。彼の足跡は、日本の郵政と通信の歴史において、決して忘れることのできない重要な一部分です。

もう一度検索