五十嵐律人

五十嵐律人

五十嵐律人（いがらし りつと、1990年 - ）は、小説家でありながら弁護士という異色の経歴を持つ人物です。第一東京弁護士会に所属し、本名を五十嵐優貴（いがらし ゆうき）として、ベリーベスト法律事務所で活躍しています。岩手県盛岡市出身で、東北大学法科大学院を修了しました。

経歴

五十嵐は中学生の頃、「特別な人になりたい」という漠然とした思いを抱いていました。しかし、スポーツや芸術に秀でているわけでもなく、小説も上手く書けずに挫折を味わいます。そこで「勉強を頑張るしかない」と決意し、猛勉強の末に東北大学法学部へ入学。大学で法律の面白さに目覚めると同時に、「中学高校であまり学べない法律の魅力を伝えられる小説を書こう」と再び小説執筆に挑戦し、ミステリー系の賞へ応募を重ねました。

大学院修了後、司法試験に合格しますが、すぐに弁護士の道へは進まず、裁判所事務官や裁判所書記官として勤務します。その中で、法律上のトラブルに直面した人々に寄り添いたいという気持ちが芽生え、弁護士への転身を決意。司法修習生時代も執筆活動を続け、2020年に『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞し、小説家としてデビューを果たしました。

現在もベリーベスト法律事務所に所属し、弁護士として活動しています。

作風

法律

作品の大きな特徴は、法律を主題としている点です。法律の魅力を伝えることを目的としており、デビュー作『法廷遊戯』は法科大学院を舞台にした法廷ミステリー、続く『不可逆少年』は少年法を扱った青春小説です。『原因において自由な物語』では、これら2作品の要素を融合させています。

小説を執筆する際はペンネームを使用し、法律監修の際には本名を使用しています。

司法試験の結果発表を待つ間には、森博嗣の『すべてがFになる』を愛読していたそうです。

弁護士としては、インターネット上のトラブルに関する業務を多く担当しています。

執筆

小説の執筆方法は独特で、詳細なプロットを立てずに、答えが見つかるまで思考を重ねながらアイデアを生み出していくスタイルです。プロットを作成すると、自身にとって解きやすい謎を考えてしまい、作品の驚きが薄れてしまうと考えているためです。推理小説の謎解きを考える際には、読者に見抜かれやすい最初のアイデアは採用しないというルールを設けています。

小説だけでなく、法律に関するエッセイも執筆しています。

受賞・ランキング

数々のミステリーランキングで上位にランクインしており、その実力が高く評価されています。

週刊文春ミステリーベスト10
2020年 - 『法廷遊戯』4位
このミステリーがすごい!
2021年 - 『法廷遊戯』3位
2023年 - 『幻告』35位
2024年 - 『魔女の原罪』19位
本格ミステリ・ベスト10
2021年 - 『法廷遊戯』9位
2024年 - 『魔女の原罪』22位
ミステリが読みたい!
2021年 - 『法廷遊戯』3位
MRC大賞
2022年 - 『幻告』5位

作品リスト

単著

「無法律」シリーズ

六法推理（2022年、KADOKAWA / 2024年、角川文庫）
密室法典（2024年、KADOKAWA）

その他

法廷遊戯（2020年、講談社 / 2023年、講談社文庫）
不可逆少年（2021年、講談社 / 2023年、講談社文庫）
原因において自由な物語（2021年、講談社 / 2024年、講談社文庫）
幻告（2022年、講談社 / 2025年、講談社文庫）
魔女の原罪（2023年、文藝春秋）
真夜中法律事務所（2023年、講談社）
嘘か真言か（2024年、文藝春秋）

アンソロジー

Day to Day（2021年、講談社）「ステイ・フレンズ」
嘘をついたのは、初めてだった（2023年、講談社）「偽証の誓約」
Jミステリー2024 SPRING（2024年、光文社文庫）「千鳥の契り」
これが最後の仕事になる（2024年、講談社）「二重螺旋の虚夢」
だから捨ててと言ったのに（2025年、講談社）「累犯家族」

実用書

現役弁護士作家がネコと解説 にゃんこ刑法（2023年、講談社）

メディアミックス

法廷遊戯（漫画：束ユムコ、イブニングKC）
法廷遊戯（2023年公開、監督：深川栄洋、主演：永瀬廉）

外部リンク

* 五十嵐律人 (@GarashiRitsuto) - X（旧Twitter）

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