五十鈴 (軽巡洋艦)

軽巡洋艦五十鈴の歴史

概要

五十鈴（いすず）は、大日本帝国海軍に所属した軽巡洋艦で、長良型の2番艦です。艦名は三重県伊勢市に流れる五十鈴川に由来しています。完成時には、高速軽巡洋艦として水雷戦隊の旗艦にふさわしい優れた艦艇とされ、多くの著名な艦長を輩出しました。1944年には防空巡洋艦に改装され、戦局に対応した新たな任務を担いました。

艦型と技術

五十鈴は、建造当初は射出機が未実用化のため、艦スピードやプロペラ推進で艦載機を発艦させていましたが、1929年には初の射出実験に成功します。この時、萱場式艦発促進装置が艦に取り付けられ、スプリングを利用した発進方式が採用されました。しかし、火薬式射出機が普及するにつれて、これらの装置は撤去されました。

戦時改装

1944年の改装では、対空兵装が大幅に強化され、八九式12.7cm連装高角砲や九六式25mm機銃が新たに装備されました。この時期、艦載機の運用も見直され、最新の電波兵器や対潜兵器が配備され、戦局への適応が図られました。最終的には、相当な対空能力を持つ艦艇へと生まれ変わりました。

艦歴

五十鈴は、1920年に起工され、1921年に進水、1923年には竣工しました。その後さまざまな任務を担う中で、1930年代から40年代にかけて日本海軍の幾多の作戦に参加しました。

太平洋戦争開戦時には既に旧式化していたものの、香港攻略戦や小スンダ列島作戦に従事。1992年には輸送任務や支援活動を行いました。

第三次ソロモン海戦では、敵機の攻撃を受け、一時的な損傷を負いながらも、何とか戦力を維持し続けました。1944年、レイテ沖海戦に参加し、艦は対空掃討に従事することなく、機動部隊の一員として攻撃を展開しました。

多号作戦

1944年11月、多号作戦における増援輸送任務にも参加し、米軍の攻撃を受けながらも、艦の活動を継続しましたが、11月19日に米潜水艦の攻撃を受けて大破しました。その後、シンガポールに避退しましたが、最終的にはスラバヤで修理を行い続けました。

最後の任務と沈没

1945年4月には、ティモール島への撤退任務に指名され、作戦の途中で敵の攻撃をやり過ごしましたが最終的には潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没しました。艦長以下450名が救助されましたが、多くの艦員が命を落としました。五十鈴は1945年6月20日に除籍され、七年にわたる活動を完結させました。

歴代艦長

五十鈴には多くの艦長が歴任しましたが、中でも堀悌吉や山本五十六、松永貞市など、後に著名な指揮官が活躍した艦としても知られています。

総じて五十鈴は、艦艇の技術革新や戦局の変化に柔軟に対応し続けた艦でした。

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