五奉行

五奉行の概要

五奉行（ごぶぎょう）は、安土桃山時代の豊臣政権の末期に活躍した五人の政治家の総称です。彼らは豊臣秀吉の遺言に基づく政権運営の要として、主に行政や司法の仕事を担っていました。ただし、当時「五奉行」と呼ばれる特定の名称は存在せず、彼らは「奉行」や「年寄」として知られていました。豊臣秀吉は政権を支えるために、彼らを重視し、「年寄」として名義上の権威を強化し、逆に徳川氏らには「御奉行」という呼称を与えることで勢威を減じる策略を考えたとされます。

五奉行の成立と背景

五奉行の成立は、小瀬甫庵の『太閤記』を根拠に天正13年（1585年）とされていますが、豊臣秀吉の死の間近い慶長3年（1598年）に確立されたとする説も存在します。豊臣政権下では、さまざまな奉行が行政に関与していましたが、その中で特に重要な役割を果たしたのが五奉行と呼ばれる5名でした。

五名は、必ずしも固定されたメンバーではなく、浅野長政が一時的に失脚した際には、宮部継潤と富田一白が加わり、6名体制で奉行を務めたこともありました。言い換えれば、五奉行とは当時の特定の政治状況の中で浮かび上がった存在であり、他にも多くの奉行が政治や行政に関与していました。秀次事件以降、訴訟や行政に携わった政治家たちも存在し、彼らは飽くなき障害に対応していく必要がありました。

五奉行の役割

彼らの職務には、蔵米の出納、治安の維持、徳川氏への対策が含まれていました。具体的には、以下の5名が主な奉行として活躍していました。

• - 浅野長政（甲斐甲府22万石）: 主に司法を担当。
• - 前田玄以（丹波亀山5万石）: 宗教的な役割を持つ。
• - 石田三成（近江佐和山19万石）: 行政業務の中心。
• - 増田長盛（大和郡山22万石）: 土木にかかわる役職。
• - 長束正家（近江水口5万石）: 財政面を担当。

浅野、石田、増田の三人は政務全般に従事し、長束が経理を担当し、前田が京都所司代や寺社奉行として任務を果たしていました。しかし、石田三成もまた文禄4年（1595年）から慶長4年（1599年）にかけて京都所司代として活躍していたため、五人の役割は一概には分けられない複雑な構造でした。

歴史的な影響

江戸幕府に比べると、五奉行は少数のメンバーで政務の中心を形成していましたが、政務の一部には五大老の協力が求められたことも事実です。特に慶長5年（1600年）には石田三成が五大老の毛利輝元と共に関ヶ原の戦いに関与し、長束正家は毛利側に属し、浅野長政は東軍として徳川秀忠に従軍しました。前田玄以と増田長盛は大坂城に留まっており、戦局に影響を与える重要な立場にありました。

五奉行は、その後の日本の歴史においても重要な役割を果たし、豊臣政権の尖兵としての歴史的な名を刻んでいます。

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