五條宮

五條宮(ごじょうぐう)



大阪市天王寺区真法院町に鎮座する神社です。旧社格は村社であり、古代からの歴史を持つ古社として知られています。主祭神として、橘氏の祖神とされる敏達天皇を祀っており、これは全国でも唯一であるとされています。その他にも、医道の祖神として信仰される五条大神と少彦名命を主祭神としています。

歴史と由緒



当社の創建は、推古天皇元年(593年)頃、聖徳太子によって四天王寺が建立された時期に遡ると伝えられています。当初は、四天王寺に併設された施薬院や療病院といった医療施設の守護を目的として、医道の祖神である五条大神と少彦名命を祀りました。

その後、敏達天皇が合祀されることになり、社名も敏達天皇社と改められました。当社の鎮座地は、敏達天皇皇太子時代に居住していた邸宅の跡地であるとの伝承があります。この地はかつて東成郡五条村に属しており、当社は同村の産土神(うぶすながみ)として篤い崇敬を受けました。特に、都の鬼門を守護し、火災から人々を守る火除けの神としても広く信仰されました。

近代に入ると、明治5年(1872年)には社格制度において村社に列せられました。さらに、大正4年(1915年)6月には、国から神饌幣帛料(しんせんへいはくりょう)を供進される神社に指定されるなど、地域の重要な神社として位置づけられました。

祭神



五條宮の主祭神は以下の三柱です。

敏達天皇(びだつてんのう):第30代天皇。橘氏の祖神とされており、全国で唯一、当社で主祭神として祀られています。
五条大神(ごじょうおおかみ):医道の祖神として信仰されます。
少彦名命(すくなひこなのみこと):医薬、温泉、酒造などに関わる神として知られ、五条大神と共に医道の祖神として祀られています。

境内



境内には、本殿、拝殿といった主要な社殿のほか、複数の摂末社や施設が配されています。

本殿・拝殿:神社の中心となる社殿です。
稲荷神社:乗光大明神、八王子大明神、福永大明神を祀ります。
七神合堂昭和50年(1975年)に建立されたお堂で、猿田彦神社市杵島神社天満宮天照皇大神宮、八幡大神宮、阿遅鉏高日子根神社、宇賀御魂神社の七柱の神が合祀されています。
光明竜王祠:水神として信仰される竜王を祀る祠です。
神木 公孫樹:樹齢500年と伝わる大きなイチョウの木です。火除信仰の一つとして大切に祀られています。
社務所・神庫:神社の運営に関わる施設です。

現地情報・交通アクセス



所在地大阪市天王寺区真法院町24-9
* 交通Osaka Metro谷町線四天王寺前夕陽ヶ丘駅」で下車し、東へ徒歩およそ7分で到着します。

五條宮は、その歴史の深さ、敏達天皇を祀るという全国唯一の特色、そして地域の守護神としての長い信仰の歴史を持つ、大阪の貴重な神社の一つです。

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