五龍局

五龍局の生涯とその影響

五龍局（ごりゅうのつぼね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した女性であり、毛利元就の次女として有名です。彼女の本名は「しん」であり、「五龍局」という名は宍戸氏の居城である五龍城に由来しています。この他にも「五龍姫」「五龍の方」「五もじ」などの呼称もあります。

出生と家族背景

五龍局は、享禄2年（1529年）、中国地方の有力な戦国大名である毛利元就の次女として、安芸の多治比猿掛城で生を受けました。彼女の母は元就の正室である妙玖で、兄弟には毛利隆元や吉川元春、小早川隆景がいます。特に、彼女の長姉である見室了性は幼少期に人質として高橋氏に仕えた後、不幸にも命を落としました。この背景もあって、五龍局は両親から特に大切に育てられたと考えられています。

婚姻と家族の結束

天文3年（1534年）、元就は宍戸氏の居城である五龍城を訪れ、その際に宍戸隆家との婚姻が決まりました。この結婚は、毛利家と宍戸家との関係を深める一環として非常に重要でした。天文16年（1547年）には、五龍局と隆家の間に長男・元秀が誕生し、その後も3人の娘を儲けました。長女の天遊永寿は伊予の河野通宣に嫁ぎ、次女の春木大方は吉川元春の長男、三女の南の大方（清光院）は毛利輝元の正室として嫁ぎました。これにより、毛利一族はさらに結束を強め、家族間の結びつきが強固になりました。

父からのメッセージ

毛利元就は息子たちに対し、「妹の五もじを思いやり、婿の宍戸隆家ともに大切にしてほしい」と述べたとされています。彼は娘の特性や性格についても理解し、「分別に欠けるところもあろうが、優しさをもって接してほしい」と語りました。このような言葉からは、政治的な結婚における親としての思いやりや、家族を大事にする姿が垣間見えます。

死去とその後

五龍局は天正2年（1574年）7月16日に46歳で亡くなりました。卒中が死因とされており、その死は当時の人々にとって衝撃だったでしょう。彼女の法名は法光院殿栄室妙寿禅尼であり、墓所は伝承されている場所が4か所あり、特定されていません。夫の宍戸隆家は後に別の女性と再婚していますが、五龍局の存在は家族の歴史に色濃く刻まれています。

関連作品

五龍局に関する著作や映像作品も存在しており、中でも1997年に放送されたNHK大河ドラマ『毛利元就』では、彼女が「可愛（えの）」という名で描かれ、彼女の人生が視聴者に紹介されました。彼女の存在は戦国時代の女性たちの生き様を知るための貴重な窓口となっています。

五龍局の人生は、戦国の激動する時代における家族の絆や、女性の役割について多くの教訓を与えてくれます。彼女の生涯は、歴史の中での女性たちの位置づけを再考する良いきっかけとなるでしょう。

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