井上春達因碩

井上春達因碩 (いのうえ しゅんたついんせき)

井上春達因碩（1728年 - 1784年）は、江戸時代に活躍した囲碁棋士であり、家元井上家の七世井上因碩としてその名を刻んでいます。旧名は岡田春達といい、常陸国（現在の茨城県）の出身です。井上春碩因碩に師事し、七段の腕前にまで上り詰めました。

生涯

春達は、筑波郡小野村の百姓、岡田太郎兵衛の子として生まれました。奇しくも、同じ常陸国出身の林門利門入は伯父、そして2歳年下の林転入門入は従弟にあたるという、囲碁一家に生まれたと言えるでしょう。23歳となった1750年に、春碩因碩の跡目となり井上春達と名乗りました。同年には御城碁に初出仕し、安井春哲仙角に先番4目勝ちという鮮烈なデビューを飾ります。また、同時期に井上家に同居していた従弟の転入門入も御城碁に初出仕しています。

1756年、本因坊察元が七段への昇段を申し入れた際、春達は察元と同等の実力を持つとして、春碩、転入門入とともに同時昇段を主張しました。この年、春達は察元と5局を打ち、先番で2勝2敗、白番で1敗という結果に終わりました。翌年、察元が再度昇段を要求した際には、これを受け入れています。

1768年の御城碁では、春碩の最後の出仕の相手を務めました。1771年には春碩の隠居に伴い家督を相続し、七世井上因碩となりました。

春達は、御城碁に生涯で38局出仕しました。1773年には吉益因達を跡目としています。門下には服部因淑がいました。

御城碁の成績

以下に、井上春達因碩の御城碁の成績を示します。

1750年(寛延3年) 先番4目勝 安井春哲仙角
1751年(宝暦元年) 白番ジゴ 安井仙哲
1752年(宝暦2年) 白番2目負 安井春哲仙角
1753年(宝暦3年) 白番3目負 本因坊伯元
1754年(宝暦4年) 白番ジゴ 安井仙哲
1755年(宝暦5年) 先番3目勝 安井春哲仙角
1757年(宝暦7年) 先番3目勝 本因坊察元
1758年(宝暦8年) 白番4目負 安井春哲仙角
1759年(宝暦9年) 先番5目勝 安井仙哲
1760年(宝暦10年) 先番4目勝 安井春哲仙角
1761年(宝暦11年) 白番4目負 安井仙哲
1762年(宝暦12年) 先番3目勝 林祐元門入
1763年(宝暦13年) 白番1目負 安井仙哲
1764年(明和元年) 先番ジゴ 本因坊察元
1765年(明和2年) 先番3目勝 安井仙哲
1766年(明和3年) 白番8目負 安井仙哲
1768年(明和5年) 二子2目勝 本因坊察元
同年 先番4目負 井上春碩因碩
1769年(明和6年) 先番4目勝 安井仙哲
同年 向七子3目負 中坊金蔵
1770年(明和7年) 白番3目負 安井仙哲
同年 先番11目勝 林祐元門入
1771年(明和8年) 白番3目負 安井春哲仙角
同年 白番9目負 本因坊烈元
1772年(安永元年) 白番13目負 坂口仙徳
同年 白番5目勝 林祐元門入
1773年(安永2年) 先番中押負 本因坊察元
1774年(安永3年) 白番14目負 坂口仙徳
1776年(安永5年) 向三子中押負 林門悦
同年 先番中押勝 林祐元門入
1777年(安永6年) 白番3目負 安井仙哲
同年 白番8目負 本因坊烈元
1778年(安永7年) 白番中押負 本因坊烈元
同年 向二子16目負 林門悦
1780年(安永9年) 白番12目負 林祐元門入
同年 白番ジゴ 井上因達
1782年(天明2年) 先番中押負 林祐元門入
同年 向二子13目負 林門悦

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年

外部リンク

木石庵「春達因碩」

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