坂口仙徳

坂口仙徳

坂口仙徳（さかぐち せんとく、元文3年（1738年、推定） - 天明3年11月30日（1783年12月23日））は、江戸時代に活躍した囲碁棋士です。武蔵国（現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部）に生まれ、五世安井春哲仙角の門下に入り、六段まで昇段しました。

棋士としての活動

坂口仙徳は、家元である安井家の外家として坂口家を興し、御城碁にも出仕しました。御城碁とは、江戸時代に将軍の御前で行われた囲碁の対局のことです。当時のトップ棋士たちが集まり、その腕を競いました。仙徳もその一人として、数々の対局を繰り広げました。

実子である七世安井仙角仙知（後の安井仙知）もまた、著名な棋士として知られています。仙徳は、後の阪口仙得と区別するために「親仙徳」とも呼ばれます。

安永元年（1772年）には、師である春哲仙角の推薦により、六段の腕前で御城碁に初出仕を果たしました。それまでの仙徳の碁は堅実なものでしたが、この頃から大胆で豪放な棋風へと変化したと言われています。

御城碁での初出仕では、六世井上春碩因碩に先番13目勝ちという鮮やかな勝利を収めました。また、お好み碁では打掛け後に二日をかけて本因坊烈元に先番中押勝を収めるなど、その実力は高く評価されました。御城碁には通算で16局出仕し、11勝5敗という成績を残しています。御城碁以外にも、10局ほどの棋譜が現在に遺されています。

家族

長男の仙知は、六世安井仙哲の養子となり、安永9年（1780年）に安井家を継いで七世安井仙知となりました。同年の御城碁では、仙徳と仙知が親子揃って出仕するという珍しい記録が残っています。仙徳の高い碁風は、息子の仙知にもしっかりと受け継がれました。

坂口家のその後

坂口家は、仙徳の次男である仙寿が継ぎましたが、30歳という若さで亡くなってしまいました。その後、八世安井知得仙知が改易され、弟子の荻野虎次郎が三世を継ぐこととなり、阪口仙得と名乗りました。この虎次郎は七世仙知の子であるとも言われていますが、定かではありません。また、この時から「坂」の字ではなく「阪」の字を用いるようになりました（白木助右衛門「棋家系譜」より）。

御城碁の成績

安永元年（1772年） 先番13目勝 井上春碩因碩
同年 先番中押勝 本因坊烈元
安永2年（1773年） 向先5目負 本因坊烈元
同年 向二子8目勝 酒井石見守
安永3年（1774年） 先番14目勝 井上春碩因碩
同年 向先3目勝 井上因達
安永4年（1775年） 先番1目負 林祐元門入
安永5年（1776年） 先番9目勝 井上因達
同年 先番3目勝 本因坊烈元
安永6年（1777年） 向二子11目勝 林門悦
同年 二子中押勝 本因坊察元
安永7年（1778年） 先番5目勝 林祐元門入
同年 向先17目負 本因坊烈元
安永8年（1779年） 向二子中押勝 林門悦
安永9年（1780年） 先番3目負 本因坊烈元
天明元年（1781年） 向先4目負 本因坊烈元

参考文献

大竹英雄『日本囲碁大系(7) 親仙徳・大仙知』筑摩書房 1977年
相場一宏、福井正明「碁界黄金の十九世紀(第1、22回)」（「碁ワールド」誌2002年7月、2004年4月号）

外部リンク

* 木石庵「坂口仙徳（親仙徳）」

もう一度検索