本因坊烈元

本因坊烈元：格式を重んじた十世本因坊

本因坊烈元（ほんいんぼう れつげん、1750年 - 1809年）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した囲碁棋士であり、十世本因坊としてその名を歴史に刻みました。山本姓で江戸に生まれ、本因坊察元の門下となり、八段準名人の地位にまで上り詰めました。

生涯

烈元は、幕府御数寄屋方組頭の家に生まれました。幼少の頃から察元に囲碁を学び、その才能を開花させます。1770年、21歳の時に六段で察元の跡目となり、御城碁に初出仕を果たしました。1788年に察元が亡くなると、本因坊家の家督を継承し、十世本因坊烈元となりました。

跡目候補としては、河野元虎がいましたが、1796年に死去。その後、宮重楽山（後の本因坊元丈）を跡目としました。1802年には、元丈の六段昇段に伴い、扶持米の下賜を願い出ています。この際、当時としては異例の早さで願い出た背景には、本因坊家の権威を守ろうとする意識があったとされています。また、家元四家の連署の際、本因坊家を常に筆頭とするよう、他家を説得し実現させました。

1807年、病により隠居と元丈への家督相続を願い出ますが、許可前に死去。井上家、安井家、林家の協議により、烈元の死は秘匿され、翌年3月に願書が認められました。その後、井上春策因碩によって死去が届け出られました。この秘匿の理由については、隠居料の請求が関係しているとも言われていますが、定かではありません。

烈元は、本因坊家の格式を重んじ、その維持のために出費を惜しみませんでした。そのため、後を継いだ元丈の代では節約を余儀なくされたと言われています。門下には、船橋源治（林元美）、関山仙太夫、伊藤子元などがいます。また、古写譜によると、明和7年頃まで沢村姓を名乗っていた時期があるようですが、その理由は明らかになっていません。

棋士としての実績

1777年から1778年にかけて、小松快禅との間で互先の十番碁を打ち、5勝5敗の五分としています。

御城碁には1770年から1804年まで出仕し、その数46局は歴代最多です。林門悦、井上因達因碩、安井仙哲といった他家の当主には好成績を収めていましたが、安井仙角仙知が台頭すると大きく負け越しました。八段昇段も仙知と同時期となっています。

御城碁の記録

以下に、烈元の御城碁の記録を一部示します。

1770年: 林祐元門入に先番4目勝
1771年: 安井仙哲に先番7目負
1772年: 安井仙哲に白番6目勝
1774年: 安井仙哲に白番6目負
1775年: 林門悦に向三子9目負
1777年: 井上因達に白番4目勝
1784年: 安井仙角仙知に向二子12目負
1792年: 安井仙角仙知に先番中押負
1800年: 井上春策に白番1目負
1804年: 井上因達因碩に白番ジゴ

まとめ

本因坊烈元は、十世本因坊として、本因坊家の格式と権威を守ることに尽力した棋士でした。御城碁での活躍や、跡目問題への関与など、その生涯は波瀾に満ちていました。彼の功績は、囲碁史に深く刻まれています。

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