井家上隆幸

井家上隆幸：知の冒険家、文芸評論の世界

井家上隆幸（いけがみ たかゆき）は、1934年1月1日に生まれ、2018年1月15日に84歳で生涯を閉じた、日本の文芸評論家、コラムニストです。彼は日本推理作家協会の会員でもありました。

生涯と業績

岡山県津山市出身の井家上は、岡山大学文学部を卒業後、1958年に三一書房に入社し、編集者としてのキャリアをスタートさせました。三一書房時代には、斎藤龍鳳の『遊撃の思想』、清水一行の『小説 兜町』、小沢昭一の『私は河原乞食・考』、竹中労の『エライ人を斬る』など、時代を反映する重要な書籍の編集に携わりました。

1972年に三一書房を退社後、創樹社で斎藤龍鳳に関する書籍の編集を担当。その後、日刊ゲンダイの創刊準備に参加しましたが、創刊前に退社し、フリーランスとして書評を中心とした執筆活動を再開しました。また、白川書院では編集者として、竹中労の「日本映画縦断」シリーズや、マキノ雅弘・稲垣浩編『山上伊太郎のシナリオ』、高平哲郎『みんな不良少年だった』、夏文彦『映画・挑発と遊撃』など、映画関連の書籍の編集にも深く関わりました。

1983年には、日本冒険作家クラブの立ち上げに発起人の一人として参加し、事務局長を務めるなど、冒険小説の普及にも貢献しました。また、日本エディタースクールでは講師として後進の育成にも尽力しました。

その評論活動は高く評価され、1992年には『量書狂読1988～1991』で日本冒険小説協会賞評論賞を、2001年には『20世紀冒険小説読本〈日本編・海外編〉』で日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞しています。

著作

井家上隆幸は、その生涯で数多くの著作を発表しました。以下に代表的なものをいくつか紹介します。

『十勝ワイン共和国 歴史の実験』(1977年)
『量書狂読 1988～1991』(1992年)
『本の話 何でもあり屋』(1995年)
『またも量書狂読 1992～1994』(1996年)
『一年で600冊の本を読む法』(1997年)
『20世紀冒険小説読本 海外篇』(2000年)
* 『20世紀冒険小説読本 日本篇』(2000年)

これらの著作は、彼の幅広い知識と深い洞察力を示しており、多くの読者に影響を与えました。

晩年

2018年1月15日、肺炎のため84歳で逝去。彼の死は、文芸評論界にとって大きな損失となりました。

井家上隆幸は、編集者、文芸評論家、コラムニストとして、日本の出版文化に大きく貢献しました。彼の著作や編集した書籍は、今もなお多くの読者に愛され、読み継がれています。

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