交流整流子電動機

交流整流子電動機：交流電源で駆動する電動機の仕組みと種類

交流整流子電動機は、交流電源を用いて動作する整流子電動機です。直流電動機と同様に整流子とブラシを用いて回転運動を得ますが、入力は交流電源である点が大きな特徴です。その特性から、様々な用途で活用されています。

交流整流子電動機のメリットとデメリット

交流整流子電動機は、以下の長所と短所を持っています。

長所:

高い始動トルク: 大きな負荷がかかっても、スムーズに回転を開始できます。これは、特に始動時のトルクが必要な用途に適しています。
高速回転: 比較的容易に高回転数を実現できます。高速回転が求められるアプリケーションに利用可能です。
回転方向の一貫性: 電源の極性に関わらず、回転方向は一定に保たれます。制御の簡素化に繋がります。

短所:

保守の煩雑さ: 整流子とブラシの摩耗により、定期的な保守点検が必要です。また、整流子からの火花放電によるノイズも発生します。
騒音と振動: 整流子の存在は、機械的および電気的な雑音、振動の発生源となります。
高い無負荷回転数: 負荷がない状態での回転速度が高いため、制御には注意が必要です。

交流整流子電動機の分類

交流整流子電動機は、大きく単相と三相に分類され、さらに巻線接続方法によって様々な種類に細分化されます。

1. 単相整流子電動機:

単相直巻整流子電動機 (ユニバーサルモーター): 回転子と固定子の巻線が直列に接続されており、交流電圧と直流電圧の両方で動作します。そのため、ユニバーサルモーターとも呼ばれ、電気ドリル、電気掃除機、ミキサー、コーヒーミルなど、家庭用電化製品に広く用いられています。直流電動機としては直巻整流子電動機に相当します。

反発電動機: 特殊な構造を持つ単相交流整流子電動機で、トムソン形、デリー形、アトキンソン形などがあります。

2. 三相整流子電動機:

三相交流電源を用いるタイプで、単相タイプより高い出力と効率が期待できます。

三相直巻整流子電動機: 単対ブラシ形と複対ブラシ形があります。
三相分巻整流子電動機: 固定子給電方式と回転子給電方式があります。固定子給電方式にはA.E.G.形やシュラーゲ形など、回転子給電方式にはウインタ・アインベルヒ形やラ・クール形などがあります。

3. 補償誘導電動機:

回転子の電流を制御することで特性を調整したタイプです。固定子給電方式にはハイランド形、回転子給電方式にはオスノス形やザクセン・ウエルケ形などがあります。

まとめ

交流整流子電動機は、その特性から様々な用途に利用されていますが、保守の容易性や騒音・振動の問題を考慮した上で、適切な機種を選択する必要があります。 用途や必要とする性能に応じて、単相・三相、直巻・分巻などの種類から最適なものを選ぶことが重要です。

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