交響曲ホ長調 (シューベルト)とは？意味をやさしく解説

交響曲 ホ長調 D729 について

フランツ・シューベルトが作曲した交響曲ホ長調 D729 は、未完成のまま残された交響曲群の一つです。シューベルトの交響曲第7番と呼ばれることもあります。

作曲の経緯

シューベルトは、未完成交響曲として有名なロ短調D759以外にも、多くの交響曲を作曲中に放棄しています。しかし、ホ長調D729は旧シューベルト全集では完成作品として扱われていました。その理由は、第4楽章まで終止線が引かれ、小節数まで確定したフルスコアという、未完成作品としては珍しい形で残されていたからです。

旧全集の編纂者は、ピアノスケッチが完成しており、あとはフルスコアを作成する段階だったと判断しました。そのため、「交響曲第7番」の番号を与えて完成作品として扱ったのです。しかし、新シューベルト全集の編纂者は、フルスコアがほとんど書かれていないことを理由に、完成作品と判断するのは早計として、番号を与えませんでした。

この作品は、初期の研究段階では「グムンデン＝ガスタイン交響曲」ではないかという見解もありましたが、現在では否定されています。しかし、シューベルトの作曲技法を知る上で、非常に貴重な存在であることは間違いありません。

自筆譜は王立音楽大学に所蔵されています。

補筆完成版

上記のような経緯から、後世の研究者によって「スコアの空白を埋める」という形で補筆完成版が制作されました。オーケストレーションが施されたものとしては、フェリックス・ワインガルトナー版とブライアン・ニューボールド版の2種類が特に有名です。

ワインガルトナー版は、シューベルトのスコアの音符を大胆に変更しているのに対し、ニューボールド版はスコアを忠実に復元していると主張しています。例えば、第4楽章の結末を唐突だと感じたワインガルトナーは結末を書き換えたのに対し、ニューボールドはそのままにしています。また、ジョン・フランシス・バーネットによるピアノ独奏版も存在します。

楽章構成

ワインガルトナー版、ニューボールド版ともに、以下の楽章構成となっています。

1. 第1楽章: アレグロ
2. 第2楽章: アンダンテ
3. 第3楽章: スケルツォ
4. 第4楽章: アレグロ

ディスコグラフィー

ワインガルトナー版

シューベルト：交響曲第7番、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、フランツ・リチャウアー（1952年）、ナクソス 9.80641
フランツ・シューベルト：交響曲ホ長調 D 729、交響的断章 D 615, 708a, 936a、ベルリン放送交響楽団（東ドイツ）、ハインツ・レーグナー（1977年/1979年）、ベルリン・クラシックス 8530668
フェリックス・ワインガルトナー：ヴァイオリン協奏曲ト長調 op. 52; シューベルト/ワインガルトナー：交響曲ホ長調 D 729、ロラン・アルブレヒト・ブロイニンガー（ヴァイオリン）、カイザースラウテルンSWR放送管弦楽団、アラン・フランシス（2007年）、CPO 6614805

ニューボールド版

シューベルト：交響曲全集、アカデミー室内管弦楽団、ネヴィル・マリナー、6枚組CD (1982年 – 1984年）、フィリップス 470 886-2
シューベルト：交響曲第7番ホ長調 D 729、ベルリン放送交響楽団（西ドイツ）、ガブリエル・フムラ（1988年）、コッホ＝シュヴァン 311 012 H1

脚注

外部リンク

* 交響曲ホ長調の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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