交響曲第10番 (モーツァルト)

交響曲第10番 ト長調 K. 74

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1770年に作曲した交響曲第10番は、ト長調 K. 74として知られています。この作品は、イタリアのミラノでの旅行中に作られましたが、作曲の動機は明確ではありません。近年の研究においては、オペラ『ポントの王ミトリダーテ』K. 87(74a)の序曲として作成された可能性が指摘されています。

今でも興味深いのは、彼がこの交響曲の自筆譜の最後に「Finis Laus Deo（終わり、神に感謝）」とラテン語で記している点です。この表現は、作品を終えるにあたっての敬意や感謝の意が込められていることを示しています。作品に対する彼の姿勢が垣間見える瞬間です。

楽器編成

この交響曲は、オーボエが2本、ホルンが2本、そして弦楽器で編成されており、比較的少人数のオーケストラで演奏されます。シンプルな楽器編成ながら、豊かな音楽の広がりを持っています。

構成

交響曲第10番は、全体が3楽章から構成されており、演奏時間は約7分程度です。特に特徴的なのは、第1楽章と第2楽章が切れ目なく演奏されることです。これにより、作品全体がひとつの流れを持ち、聴き手を引き込む効果を生み出しています。なお、第1楽章と第2楽章の自筆譜には、具体的なテンポの指示が記載されていないため、演奏者の解釈に委ねられています。

第1楽章 (アレグロ)

第1楽章はト長調、4分の4拍子、ソナタ形式で構成されています。この楽章では、アメリカの音楽学者ニール・ザスローが注目した点があります。彼によると、この楽章の第17～22小節（再現部では第77～82小節）のフレーズは、シジュウカラの鳴き声と似たリズムを持つとのことです。このような自然の音と音楽との関連性を指摘することで、モーツァルトの創造性を感じることができます。

第2楽章 (アンダンテ)

第2楽章はハ長調、8分の3拍子の二部形式です。この楽章では、より穏やかな雰囲気が漂います。モーツァルトの感情豊かなメロディーが、聴く者に深い印象を与えます。

第3楽章 (ロンドー：アレグロ)

第3楽章はト長調、4分の2拍子のロンド形式で展開されます。この楽章のリズムやメロディは、全体の流れにもスムーズに溶け込み、活力にあふれています。

まとめ

交響曲第10番 ト長調 K. 74は、モーツァルトらしい旋律美と構成の巧妙さが光る作品です。簡素な楽器編成でありながら、豊かな音楽表現により、多くの聴衆に愛されています。さらに、この作品は神への感謝が込められ、聴く人々に深い感銘を与えます。

• ---

交響曲第10番 ト長調 K. 74の楽譜) - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

もう一度検索