交響曲第11番 (ヴィラ＝ロボス)

ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ＝ロボスが1955年に生み出した交響曲第11番は、彼の創作活動の中でも重要な位置を占める管弦楽作品です。この作品は、ヴィラ＝ロボスの交響曲シリーズにおいて、彼円熟期のスタイルを示す一例となっています。

この交響曲は、アメリカ合衆国を代表するオーケストラの一つ、ボストン交響楽団の創立75周年を祝う記念事業の一環として委嘱されました。1954年10月29日、アメリカ議会図書館クーセヴィツキー音楽財団とボストン交響楽団は、当時世界的に活躍していた多数の著名な作曲家たちに新作の依頼を行いました。ヴィラ＝ロボスもこの要請に応じ、第11番目の交響曲を作曲することとなりました。

依頼を受けたヴィラ＝ロボスは、精力的に作曲に取り組み、翌1955年に作品を完成させました。この交響曲は、現代音楽の支援者として知られるセルゲイ・クーセヴィツキーとその妻ナタリー・クーセヴィツキーに献呈されています。作品の自筆譜は、現在もワシントンD.C.にあるアメリカ議会図書館に大切に収蔵されており、歴史的な資料としての価値も持っています。

交響曲第11番の初演は、作曲完成の翌年、1956年3月2日にボストンのシンフォニーホールで行われました。この記念すべき演奏会では、作曲者自身が指揮台に立ち、委嘱元であるボストン交響楽団が演奏を担当しました。初演は成功を収め、当時の音楽評論家や記者たちからは非常に好意的な評価を得たと伝えられています。この成功は、ヴィラ＝ロボスの国際的な名声を一層確固たるものとする出来事となりました。

作品は伝統的な4楽章構成で書かれています。各楽章のタイトルは以下の通りです。

第1楽章: Allegro Moderato（アレグロ・モデラート）
第2楽章: Largo（ラルゴ）
第3楽章: Scherzo (Molto vivace)（スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ）
第4楽章: Molto Allegro（モルト・アレグロ）

全曲の演奏時間は約26分半程度とされています。

この交響曲は、ヴィラ＝ロボスらしい大規模かつ色彩豊かなオーケストレーションが特徴であり、多岐にわたる楽器が要求されます。使用される楽器編成は以下の通りです。

木管楽器: ピッコロ2、フルート2、オーボエ2、コーラングレ（イングリッシュホルン）、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット
金管楽器: ホルン4、トランペット4、トロンボーン4、チューバ
打楽器: ティンパニ、タムタム、シンバル、トライアングル、マトラカ（木製のラトル）、バスドラム、マリンバ、シロフォン
鍵盤楽器: チェレスタ、ヴィブラフォン、ピアノ
ハープ: 2台
弦楽器: ヴァイオリン（第1、第2）、ヴィオラ、チェロ、コントラバスからなる弦五部

これらの豊富な楽器を用いた響きは、ヴィラ＝ロボスならではの南米的な情熱と洗練された構成力が見事に融合した、聴きごたえのある作品となっています。交響曲第11番は、彼の交響曲シリーズの中でも特に輝きを放つ一曲と言えるでしょう。

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