交響曲第2番 (シューベルト)

シューベルト 交響曲第2番 変ロ長調 D125

フランツ・シューベルトが18歳という若さで完成させた交響曲第2番変ロ長調D125は、彼の初期の交響曲の中でも特に重要な作品です。1814年12月20日に作曲が開始され、翌1815年3月24日に完成しました。この時期、シューベルトは『糸をつむぐグレートヒェン』や『魔王』など、多くの歌曲を作曲しており、その創作意欲が交響曲にも注がれたことが伺えます。

概要

シューベルトは、1813年にコンヴィクトを去り、兵役を免れるために師範学校に入学しました。その後、父の学校で代理教員として働いていた時期に、この交響曲を作曲しました。作曲の動機は明確にはわかっていませんが、前作の交響曲第1番から1年以上を経て、作曲されたことになります。

この交響曲は、モーツァルトの交響曲第39番の序奏や、ベートーヴェンの『プロメテウスの創造物』序曲の主題との類似性が指摘されています。しかし、シューベルト自身の個性が十分に発揮されており、特に第1楽章は、その活力と色彩感から、ブラームスをして「広さと安逸のうちでの純真な悦び」と評させたほどです。また、第1番よりも形式的に充実し、旋律の魅力も増しており、楽器編成もフルートが1本追加されるなど、より豊かな響きを持っています。

スタンレイ・レイフィールドは、この交響曲の規模の大きさから、「後の『未完成』や『ザ・グレート』を予示する」と評価しており、後期の交響曲との共通点も多く見られます。

初演は、作曲から60年以上経った1877年10月20日に、ロンドンの水晶宮コンサートにて行われました。

楽器編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部

演奏時間

約34分（第1楽章と第4楽章の提示部リピートを省略した場合は約30分）

構成

全4楽章から構成されています。

第1楽章: Largo - Allegro vivace 変ロ長調、4分の4拍子～2分の2拍子。
規模の大きい序奏を持つソナタ形式。ベートーヴェンの『プロメテウスの創造物』序曲に似た力強い第1主題が特徴的で、提示部が非常に長いです。展開部は短く、第1主題に基づいており、再現部、コーダへと続きます。
第2楽章: Andante 変ホ長調、4分の2拍子。
主題と5つの変奏から成ります。主題はベートーヴェンのロンドハ長調Op.51-1に似ています。フルートの2nd、トランペット2本、ティンパニは休止します。
第3楽章: Menuetto. Allegro vivace - Trio ハ短調、4分の3拍子。
三部形式のメヌエットですが、短調で書かれているのが特徴です。
第4楽章: Presto vivace 変ロ長調、4分の2拍子。
ソナタ形式で、第1楽章の序奏のような構造を持っています。第1主題が提示部で何度も登場し、展開部も第1主題に基づいています。再現部の後、短いコーダで曲を閉じます。

外部リンク

シューベルトの交響曲第2番D125の総譜（PDF） - IMSLP: The International Music Score Library Project)
Symphony no.2 in Bb, D.125（交響曲第2番変ロ長調D.125） - Free Sheet Music (Musopen)


この交響曲は、シューベルトの若き才能と、後の大作へと繋がる萌芽を感じさせる重要な作品と言えるでしょう。

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