交響曲第2番 (デュティユー)

アンリ・デュティユーによる交響曲第2番は、『ル・ドゥーブル』（二重）という示唆に富んだ副題を持つ、彼の重要な管弦楽作品の一つです。この交響曲は、デュティユーが1957年から1959年にかけて作曲を手がけました。

この作品の最も特徴的な点は、その独創的な楽器編成にあります。『ル・ドゥーブル』という副題が示す通り、この楽曲では二つの異なる規模のオーケストラが用いられます。一つは通常規模の「大オーケストラ」であり、もう一つはより小編成の「小オーケストラ」、あるいは「独奏群」とも呼べるパートです。この二つのグループが、互いに呼応し合ったり、あるいは融合して響きを織り上げたりすることで、複雑で多層的な音響空間が創出されます。

大オーケストラは、標準的な二管編成を基礎としつつ、木管楽器にはピッコロ、コールアングレ、バスクラリネット、コントラファゴットといった持ち替え楽器が含まれます。金管楽器はホルン、トランペット、トロンボーンが各2本、テューバが1本です。打楽器セクションは非常に充実しており、シンバル、サスペンデッド・シンバル、トライアングル、タムタム、大太鼓といった膜鳴・体鳴楽器に加え、シロフォン、ヴィブラフォン、グロッケンシュピールといった鍵盤打楽器が各1台ずつ指定されています。これにハープ1台と弦五部（ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）が加わり、色彩豊かな大規模な響きを担います。

一方の小オーケストラは、一種のコンチェルティーノ（小協奏曲）的な役割を果たします。その編成は以下の通りです：

オーボエ 1
クラリネット（変ロ調） 1
ファゴット 1
トランペット 1
トロンボーン 1
クラヴサン 1
チェレスタ 1
ティンパニ
ヴァイオリン 2
ヴィオラ 1
* チェロ 1

クラヴサンとチェレスタという異なるタイプの鍵盤楽器が含まれている点も特筆されます。この小オーケストラは、大オーケストラとは対比される、よりクリアで分離の良い響きを提供し、楽曲に立体感を与えています。

楽曲は以下の三つの楽章によって構成されており、全曲の演奏時間は約30分となります。

1. 第1楽章 アニマート・マ・ミステリオーソ（Animato ma misterioso）：快活でありながらも神秘的な雰囲気を帯びた楽章です。二つのオーケストラが織りなす複雑なテクスチュアが特徴的です。
2. 第2楽章 アンダンティーノ・ソステヌート（Andantino sostenuto）：少し遅めのテンポで、しかし音を十分に保続して演奏される楽章です。叙情的で深みのある響きが中心となります。
3. 第3楽章 アレグロ・フォコソ～カルマート（Allegro focoso - Calmato）：情熱的で速い部分と、対照的に穏やかで落ち着いた部分が組み合わされた楽章です。劇的な展開を経て終結部へと向かいます。

この画期的な交響曲は、1959年12月11日に、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンにおいて世界初演されました。指揮は、当時のボストン交響楽団音楽監督であり、フランス音楽の擁護者としても知られるシャルル・ミュンシュが務めました。初演を担ったボストン交響楽団は、その卓越した演奏能力によって、本作の複雑な構造と豊かな音色を見事に表現しました。

デュティユーの交響曲第2番『ル・ドゥーブル』は、二重オーケストラという革新的な手法を通して、彼の探求心と独特の音響世界が結晶化した作品と言えるでしょう。

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