交響曲第2番 (ブライアン)

ハヴァーガル・ブライアン：交響曲第2番 ホ短調

ハヴァーガル・ブライアンによる交響曲第2番 ホ短調は、1930年から1931年にかけて作曲された作品です。この時期のブライアンの多くの作品に共通する特徴として、演奏に極めて大規模なオーケストラ編成を要求することが挙げられますが、この交響曲第2番もその例に漏れず、壮大な響きを実現するために巨大な編成が指定されています。

特に注目すべきは金管楽器、とりわけホルンの指定数であり、なんと16本ものホルンが必要とされます。これは一般的なオーケストラの編成をはるかに超える数であり、この作品のサウンドスケールの大きさを物語っています。全体の楽器編成は以下の通りです。

木管楽器:
フルート 4 (うち2奏者はピッコロに持ち替え)
オーボエ 4 (うち2奏者はコーラングレに持ち替え)
コーラングレ 2
クラリネット 4 (うち2奏者はバスクラリネットに持ち替え)
ファゴット 4 (うち1奏者はコントラファゴットに持ち替え)
金管楽器:
ホルン 16
トランペット 4
トロンボーン 4
チューバ 2
打楽器:
ティンパニ (3台使用)
グロッケンシュピール
シロフォン
シンバル
大太鼓
タムタム
チューブラーベル
鍵盤楽器:
チェレスタ
ピアノ 2
オルガン
ハープ: 2
弦楽器:
弦五部（ヴァイオリンI, ヴァイオリンII, ヴィオラ, チェロ, コントラバス）

これだけの楽器群が用いられることから、その響きは極めて重厚かつ色彩豊かなものであることが想像できます。

作品は全4楽章で構成されており、各楽章には以下の速度・雰囲気指定が付されています。

1. 第1楽章: Adagio solene - Allegro assai （厳粛なアダージョ - きわめて速いアレグロ）
2. 第2楽章: Andante sostenuto e molto espressivo （支えられるような、きわめて表情豊かなアンダンテ）
3. 第3楽章: Allegro assai （きわめて速いアレグロ）
4. 第4楽章: lento maestoso e mesto （遅く、荘厳に、そして悲しく）

これらの楽章タイトルからも、作品が持つ多様な側面、厳粛さ、情熱、悲哀といった幅広い感情が表現されていることがうかがえます。全曲を通した演奏時間は約50分程度とされています。

この交響曲が初めて演奏されたのは、作曲から実に40年以上も後のことでした。最初の演奏機会は1973年5月19日、レスリー・ヘッド指揮ケンジントン交響楽団によるもので、これはおそらくアマチュアによる初演と考えられています。その後、プロフェッショナルな団体による公式な初演は、1979年5月9日にチャールズ・マッケラスが指揮するBBC交響楽団によって行われました。これは作曲完成から約半世紀近くを経てのことであり、ブライアンの作品がしばしば直ちに演奏機会に恵まれなかった状況を典型的に示しています。

交響曲第2番は、ブライアンの初期の壮大なスタイルを代表する作品の一つであり、特にその規格外の楽器編成、中でもホルン16本という指定は、彼の交響曲の中でも際立った特徴として知られています。その巨大な音響と表現の幅広さは、ブライアンの個性的な音楽世界を体験する上で重要な一曲と言えるでしょう。

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