交響曲第2番 (ラフマニノフ)

ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調 作品27

セルゲイ・ラフマニノフが作曲した交響曲第2番ホ短調作品27は、作曲家の豊かな感情と卓越した作曲技術が融合した傑作として知られています。1906年から1907年にかけて作曲され、1908年にラフマニノフ自身の指揮で初演されました。恩師セルゲイ・タネーエフに献呈されたこの作品は、ラフマニノフの交響曲の中でも特に人気が高く、甘美な旋律と壮大なオーケストレーションが特徴です。

作曲の経緯

ピアノ協奏曲第2番の成功によって自信を取り戻したラフマニノフは、1904年から1905年にかけてボリショイ劇場の指揮者として成功を収めます。しかし、作曲に専念するために1906年に家族とドレスデンへ移住。この地で交響曲第2番の作曲に集中しました。初稿に満足できなかったラフマニノフは、数か月の改訂を経て作品を完成させ、1908年にサンクトペテルブルクで自ら指揮して初演し、大成功を収めました。

楽曲構成

交響曲第2番は、以下の4つの楽章で構成されています。

第1楽章: Largo - Allegro moderato ホ短調、序奏付きのソナタ形式。陰鬱な序奏から始まり、全曲を支配する重要な動機が提示されます。可変拍子的な感覚が特徴で、劇的な展開と美しい旋律が印象的です。
第2楽章: Allegro molto イ短調、2/2拍子、複合三部形式のスケルツォ。「怒りの日」の旋律が引用され、スケルツォの軽快さと中間部の落ち着いた雰囲気が対比的に描かれます。
第3楽章: Adagio イ長調、4/4拍子、三部形式。ラフマニノフならではの甘美な旋律が特徴的な緩徐楽章。ヴィオラの流れるような旋律やクラリネットのノクターン風の旋律が美しい。
第4楽章: Allegro vivace ホ長調、2/2拍子、ソナタ形式。先行楽章の動機や主題が集約的に総括される終楽章。エネルギッシュな第1主題と甘美な第2主題が対照的で、華やかなコーダで締めくくられます。

演奏史

初演後、作品の冗長さを指摘する声があり、カット版での演奏が一般的でした。しかし、アンドレ・プレヴィンが全曲版の存在を知り、演奏するようになってから、全曲版が普及しました。現在では、第1楽章の提示部反復を省略する例はあるものの、全曲版での演奏が定着しています。

編成

交響曲第2番は大編成のオーケストラを必要とします。ハープは含まれませんが、3本のフルート、オーボエ、クラリネット、4本のホルン、3本のトランペット、トロンボーン、チューバ、ティンパニ、シンバル、大太鼓、小太鼓、グロッケンシュピール、そして弦楽器群が用いられています。

その他の使用例

交響曲第2番は、その美しい旋律から様々な分野で使用されています。エリック・カルメンは第3楽章を元に「恋にノータッチ」を制作。日本のテレビドラマやCMにも使用され、平原綾香も第3楽章をモチーフにした楽曲を発表しています。

主要な音源

数多くの指揮者とオーケストラが交響曲第2番を録音しています。初期の録音にはニコライ・ソコロフ指揮クリーヴランド管弦楽団、レオポルド・ストコフスキー指揮ハリウッド・ボウル交響楽団などがあります。近年では、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団、ウラジミール・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団などの録音が高く評価されています。

交響曲第2番は、ラフマニノフのロマンティシズムとロシア的な情感が凝縮された傑作です。その美しい旋律と壮大なオーケストレーションは、聴く人の心を捉え、感動を与え続けています。

もう一度検索