交響曲第4番 (グラズノフ)

アレクサンドル・グラズノフの交響曲第4番変ホ長調作品48

アレクサンドル・グラズノフによる交響曲第4番変ホ長調作品48は、1893年に完成した重要な作品で、ロシアの国民楽派を代表する作曲家の一人として知られるグラズノフが、自己の個性を存分に表現した交響曲です。この作品は、彼の創作の中での重要な転機となり、従来の国民楽派音楽の枠組みを超えて、新たな音楽的探求を示しています。

交響曲の献呈先は、作曲家であり偉大なピアニストのアントン・ルビンシテインで、これがグラズノフの師でもありました。全体は3楽章で構成されており、その内容は通常の交響曲4楽章の作品に匹敵するものとされています。特に第2楽章は、アルノルト・ベックリンの絵画『ディアーナの狩』からインスピレーションを受けたもので、音楽を通じて絵画の情景を表現しようとしています。

この交響曲は、1893年12月4日に完成し、1894年1月22日にサンクトペテルブルク貴族会館で開催された第3回ロシア音楽演奏会において初めて演奏されました。この初演では、グラズノフの恩師であるリムスキー＝コルサコフが指揮を務め、作品を「すばらしく、高貴で表情豊かな」と賞賛しました。

楽器編成

交響曲第4番は多彩な楽器編成を誇ります。具体的には、フルート2、ピッコロ、オーボエ2、イングリッシュホルン、クラリネット3、ファゴット2という木管楽器が加わります。また、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバといった金管楽器に加え、ティンパニ2、弦五部という構成です。この幅広い楽器編成は、様々な音色と感情表現を可能にしています。

構成

第1楽章 Andante - Allegro moderato 変ホ長調

この楽章は、9/8拍子のソナタ形式で展開されます。最初にイングリッシュホルンが哀愁を帯びた主題を奏で、その後ホルンが東洋的な旋律を引き継ぎます。続いてオーボエが第1主題を提示し、全体的に抒情的かつダイナミックな展開が見られます。

第2楽章 Scherzo：Allegro vivace 変ロ長調

こちらは6/8拍子で、クラリネットが主旋律を司ります。続く展開では、フルートとクラリネットが協和し、さらにホルンとの二重奏が加わります。トリオの部分では、クラリネットが再び主題を扱い、ヘ長調に移行しつつ静かな終止を迎えます。

第3楽章 Andante - Allegro 変ホ長調

この楽章は4/4拍子で、クラリネットとヴィオラによる柔和な主題から始まります。この楽章も行進曲風であり、温かな雰囲気を醸し出します。第2主題は、先述の主題を発展させた内容が含まれており、展開部では過去の楽章からの主題も再現される構成となっています。

交響曲第4番変ホ長調は、その豊かな感情表現と音楽的洗練によって、今なお多くの人々に愛されており、ロシアの音楽界における重要な作品の一つとされています。特に、グラズノフの養女エレーナ・グラズノフ＝ギュンターによると、アメリカでは交響曲第5番が人気であったものの、ヨーロッパでは第4番が特に評価されていると語られています。

この交響曲は、今でも頻繁に演奏されるレパートリーの一つであり、演奏者や聴衆にとっては深い感動を呼び起こす作品であることに疑いありません。

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